骨が折れてもいずれ治るのはなぜ?|骨折が治癒するまでのプロセス
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「骨折が治癒するまでのプロセス」に関するQ&Aです。
[前回]
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
骨が折れてもいずれ治るのはなぜ?
骨折した骨がくっつくのは、骨折後、破骨細胞によって不要なものが始末され、骨芽細胞によって新たな骨の形成が促されるからです。
骨折が治癒するまでのプロセスをみてみましょう。骨折が起きると骨組織が破壊されて周囲の骨こつまく膜が切れ、血管も切断されて血腫(けっしゅ)が生じます。この時期は炎症を起こしていますので、疼痛があります。
ギプスで固定してしばらく経つと、骨折部位の周囲から幼若(ようじゃく)結合組織細胞と呼ばれる細胞が骨折部に侵入し、骨髄に肉芽組織(にくげそしき)が形成されていきます。そして切れてしまった毛細血管も新たに作られ、壊死した組織が次第に吸収されていきます。
また、酸素と栄養分が補給されるとともに軟骨が少しずつ形成され、骨折した骨と骨が接着します。この状態を、仮骨(かこつ)といいます。
時間の経過とともに仮骨は骨組織としての強度を増し、不要なものは破骨細胞によって吸収されます。さらに骨芽細胞(こつがさいぼう)によって新たな骨が形成され、骨折部は元に戻ります。
治癒までに要する日数は、骨折部位や年齢によって異なります。肋骨で約3週間、鎖骨で約4週間、上腕骨で約6週間、大腿骨で約8週間、大腿骨頸部で約12週間です。
MEMO大腿骨頸部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)
骨粗鬆症のある高齢女性に多くみられる骨折。頸部は股関節の運動を邪魔しないように細くなっており、骨折を起こしやすいという特徴があります。また、大腿骨頸部に対して縦方向に骨折が起こりやすく、手術が必要となります。
[次回]
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版