リンパは何のためにあるのだろう?|リンパの役割
看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
[前回]
今回は「リンパ」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
〈目次〉
リンパは何のためにあるの?
リンパはリンパ球とリンパ液から構成されています。
リンパ液とは、毛細血管から出た水分のうち、再吸収されずに組織間隙に残った組織液(組織間液)のことです(「リンパってどういうもの?」参照)。
リンパにはリンパ球、脂質、無機塩などが含まれています。このリンパ液を回収して血管内に戻す役割を果たしているのがリンパ管で、全身を巡っています。リンパ球は、リンパ液、リンパ組織(リンパ節、扁桃、胸腺、脾臓、骨髄)に存在しています。
リンパ管はどのようにしてリンパを運ぶの?
動脈を血液が流れることができるのは、心臓の拍動のためです。また、静脈血が心臓に戻ることができるのは、筋肉ポンプと静脈弁の働きによります。それでは、リンパはどのようにしてリンパ管内を運ばれるのでしょう。
リンパの流れは、末梢から中心に向かう流れしかありません。またリンパ管には静脈と同じような弁があり、これで逆流を防いでいます。そして、リンパの流れを作り出しているのは、さまざまな臓器の動きや骨格筋運動などです。
リンパ管は各組織に網の目のように張り巡らされ、合流して次第に太いリンパ管になります。最終的には、2本のリンパ本幹から静脈(鎖骨下静脈と内頸静脈の合流部)に合流します。
リンパ節はどんな役割を果たしている?
リンパ節はリンパ管が走行する途中にあるリンパ組織で、人体には約600個あります。
リンパ節にはリンパ球が豊富に存在し、また白血球の一種である樹状細胞が存在しており、リンパ液の中の細菌やウイルス感染細胞などの異物をとらえ、貪食(どんしょく)作用で処理し、抗原提示細胞として働きます。
生体を守るための免疫機能を担っています。細菌やウイルス感染細胞を攻撃するので、リンパ節は炎症を起こして腫れ上がります。
リンパ節のうち、主要なものは大血管の周囲や内臓に出入りする血管に沿って集まっています。主なリンパ節は頭頸部の耳下腺リンパ節、顎下リンパ節、頸リンパ節や、腋窩リンパ節、鼡径リンパ節、ワルダイエル咽頭輪などです。
※編集部注※
当記事は、2016年7月28日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
⇒〔解剖生理Q&A一覧〕を見る
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版