血圧に関するQ&A
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「血管の構造」に関するQ&Aです。
[前回]
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
〈目次〉
血圧は何を表しているの?
血圧は心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す圧です。
血圧=心拍出量×末梢血管抵抗で求められます。
左心室の内圧は、0~120mmHgの間で周期的に変動し、収縮期の心室内の圧は120mmHgに上昇します。左心室の収縮によって血液が大動脈に送り込まれると、動脈内の圧はいっきに、心室内の圧と同じ120mmHgを示します。
左心室から血液がすべて送り出されると、大動脈との境にある大動脈弁が閉じます。このとき、動脈壁は送り込まれた血液によって伸展しています。
しかし、動脈は弾力に富んでいますので、やがて元の状態に戻ります。元に戻る力を利用して血液は末梢へと送られていき、動脈内の血液量が次第に減って、血管壁にかかる圧は80mmHgほどにまで下がります。心臓が収縮と拡張を繰り返すたびに、動脈にかかる圧(血圧)は変化します。
MEMO収縮期血圧と拡張期血圧
心臓が収縮したときに記録される血圧が収縮期血圧(最高血圧)です。正常血圧(脳、心臓、腎臓などに臓器障害を起こさない血圧値)は<120mmHg です。
これに対し、心臓が拡張したときに記録される血圧が拡張期血圧(最低血圧)で、正常血圧は<80mmHgです。
血圧に個人差があるのはなぜ?
心臓が血液を送り出すときの圧は120mmHgですが個人差があります。
これは、血圧の高低を決定する要素には、① 心臓の拍出量、② 血管壁の弾力性、③ 末梢血管の抵抗、④ 血管内の血液量、⑤ 血液の粘性などがあります。
平均血圧って何?
一般的には、平均血圧というと、収縮期、拡張期それぞれの血圧の平均という意味で用いられています。
しかし、収縮期血圧、拡張期血圧を1つの数値で表したものを平均血圧ということがあります。
計算方法は次のとおりです。
平均血圧=脈圧(収縮期血圧ー拡張期血圧)÷3+拡張期血圧
平均血圧の基準値は、成人男性が90~110mmHg、成人女性が80~110mmHgです。
MEMO脈圧
収縮期血圧と拡張期血圧との差のこと。
120mmHg / 80mmHgであれば、脈圧は40mmHgになります。 基準値は40~60mmHgの範囲です。
※編集部注※
当記事は、2016年7月7日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版