赤血球沈降速度測定時、3.8%のクエン酸ナトリウムを用いるのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は赤血球沈降速度(赤沈)に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
〈目次〉
赤沈測定時、抗凝固剤を用いるのは
赤沈は赤血球の凝集(連銭形成)に大きな関係があり、凝集が早く、かつ大きくなるほど、赤沈は促進されます。
よってこの反応は血液を凝固させては測定ができず、そのために抗凝固剤として、クエン酸ナトリウムを用います。
また、クエン酸ナトリウムの濃度が3.8%なのは、赤血球とほぼ等張であり、溶血などによる凝集への影響が少ないとされています。3.2%濃度を用いる場合もあります。
赤沈が促進するのは
赤血球の凝集は、血漿タンパクの荷電状態の変化と密接な関係があります。
陽性荷電のグロブリン、フィブリノーゲンが増加すると、赤血球の陰性荷電を放電させて血球の凝集は早く起こり、赤沈は促進します。逆に、アリブミンは陰性に荷電して、凝集阻止の作用をします。
また、この反応は赤血球の状態にも関係があり、高度の赤血球減少またはヘモグロビン減少によって促進をきたしますが、軽度の貧血では影響はありません。
赤沈は、生体内の代謝障害や組織の破壊吸収の異常を反映して促進する非特異反応です(表1、表2、表3)。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版