採血した血液が時間とともに分離するのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は血液凝固に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
採血した血液が時間とともに分離するのはなぜ?
血液は採血されて、血管から外へ出ると凝固し、血餅と血清に分離するためです。
血液が凝固するのは
血管から外に出た血液は、次のような仕組みで固まります。
まず、血液が異物(試験管)に接触することにより、血液中の種々の凝固因子が活性化され連鎖反応を起こします。近年では、内因系・外因系血液凝固機序で反応が進むといわれています。
簡単に説明しますと、第1相は、内因系と外因系により血液トロンボプラスチンが形成されます。
第2相では、このトロンボプラスチンと、もともと血液中にあるカルシウムとがプロトロンビンに作用して、トロンビンを形成します。
第3相では、このトロビンがフィブリノーゲンに作用して、フィブリンができます(図1)。
図1血液凝固の仕組み
血液が凝固するのは、このフィブリンと血球とが結びつくためで、フィブリンは網状のかたまりをつくり、これに血球と血小板が一緒になったものを血餅といいます。
時間とともに、この血餅はしだいに収縮して、血清という透明な液が外に滲み出てきて、血液は血餅と血清に分離されます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版