経管栄養中に誤嚥してしまうことがあるのはなぜ?|経管栄養剤の注入のポイント
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は経管栄養中の誤嚥に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
経管栄養中に誤嚥してしまうことがあるのはなぜ?
〈目次〉
誤嚥の原因とは
前述の疑問点に対する回答にもあるように、経管栄養中においても注入物(流動物)の誤嚥は以下のいくつかの原因によって起こる可能性があります。
- ①経管栄養物の嘔吐および嘔吐物の誤嚥。
- ②経管栄養は水分が多く、その滴下スピードが的確でなければ逆流や誤嚥の可能性が高くなる。
- ③胃を圧迫するような体位や、胃・腸の通過障害などによる胃内圧の上昇。
- ④体動時の刺激による逆流や的確な体位が保てない状態。
- ⑤胃の排出能の低下。
経管栄養を必要とする患者の看護ポイント
- ①経管栄養の目的や方法を説明し、承諾を得る。
- ②ベッドアップ30°の体位をとり、膝を軽く屈曲し、腹部の緊張をとります。
・経管栄養チューブが胃内に挿入されていることを確認します。カテーテルチップで胃液を吸引し、pH5.5以下であることを確認することが望ましいです。空気を少量注入して、聴診器を上腹部にあて気泡音を確かめて、胃内に挿入されていることを確認する方法は、誤認される場合もあります(図1)。チューブ挿入時には、レントゲン写真で胃内に挿入されていることを確認することが推奨されています。
・胃の蠕動運動に流動食の温度は影響しないため、流動食の温度は常温で入れる。急速な投与をしたり冷えているものは直接注入してはいけません。
・100mL/30分程度とされていますが、消化器症状がなければ300~500mL/30分~1時間程度で滴下しても支障がないこともあります。 - ③注入中は、バイタルサインの変化や腹部不快感や腹部膨満感などの出現に注意します。
- ④注入終了後は、経管栄養チューブ内にある流動食の腐敗防止、チューブの閉塞防止のため、微温湯を通し、クレンメで止めます。
- ⑤注入後は30分~1時間ギャッチアップを維持します。また、下痢症状や嘔気・嘔吐症状がないか注意します。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版