摂取した食物が残渣物として排泄されるまでにどのくらい時間がかかるの?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は食物摂取と排泄に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
摂取した食物が残渣物として排泄されるまでにどのくらい時間がかかるの?
健康人では食事を摂取してから72~78時間後に、その消化残渣が糞便となって排泄されるといわれています。
〈目次〉
食物の通過経路と通過時間は
まず、食物は口腔内で細かくかみ砕かれ(咀嚼〔そしゃく〕)、唾液と混ざり、唾液中の消化酵素の作用をうけ、口腔から咽頭、食道を経て胃の噴門に送られます(嚥下〔えんげ〕)。この通過時間は約10秒です。
胃に入った食塊はここに停滞し、撹拌され、その間に消化液の作用を受けて半流動状となります。食物が胃に入ると蠕動(ぜんどう)運動が起こり、少しずつ幽門を介して十二指腸に送られていきますが、その所要時間は約3時間です。
そして十二指腸から小腸に送られ、ここで十分な消化・吸収作用を受けて回盲部に送られるまでに約7~9時間かかります。回盲部から上行・横行・下行結腸およびS状結腸までは約25~30時間、直腸に停滞しているのは約30時間を要するといわれています。
もちろん、個人差や食物の内容により、通過時間は変わります。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版