便にいろいろな性状があるのはなぜ?
『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は便の性状に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
便にいろいろな性状があるのはなぜ?
便は、食物が口から摂取されて排泄されるまでの間の腸管の消化、吸収、運動などの状態を反映しているためです。
〈目次〉
各原因による便の性状は
便の性状は、固形便、有形軟便、泥状便、水様便などに区別され、腸管の蠕動運動が亢進しているときや炎症のため水分の吸収が不十分なときは、下痢便となります。
正常では有形軟便から軽度固形便ですが、結腸に長く停滞すると(いわゆる便秘)、硬い糞塊を形成して兎糞(とふん)様便となります。
また、直腸に狭窄があるとき、あるいは大腸に痙攣性収縮のあるときには鉛筆様便となります。
便の色は
また、便の色には違いがあります。一般的に、胆汁色素であるステルコビリン(stercobilin)によって黄褐色を呈しています。
激しい下痢の場合、ビリルビンが還元されてウロビリンに変化する時間がなく排泄されるため、黄色~黄緑色となります。
また、胆汁排泄不足で脂肪の消化が障害されているときには、粘度色を呈します。
消化管に出血がある場合、それが小腸より上部ならば黒色タール便となり、大腸下部のときは鮮紅色を呈し血便となります。
便の性状の違いは、腸管の消化、吸収、運動によるものですが、逆に、便の性状で、腸管の働きや状態を知ることもできるわけです。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版