熱が急激に上がるとき、悪寒・戦慄が起こるのはなぜ?
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『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は発熱による悪寒・戦慄に関するQ&Aです。
江口正信
公立福生病院診療部部長
熱が急激に上がるとき、悪寒・戦慄が起こるのはなぜ?
体温調節中枢の調節レベルが上昇し、体熱の放散を減少させ、体熱の産生を高めて調節レベルまで体温の上昇を起こすためです。
〈目次〉
発熱とは
発熱とは体温調節中枢の機能が異常となり、普通の体温以上のレベルに高められた状態のことです。各種のタンパク質やタンパク質の分解産物、あるいは体内へ入った異種タンパクおよびタンパク質の誘導体など、また、組織の壊死あるいは脱水などが原因となります。
悪寒・戦慄とは
熱が急激に上がる、つまり体温調節中枢の調節レベルが通常よりも高いところに設定された場合、血液の温度は中枢の調節レベルよりも低いことになりますから、体温をその設定されたレベルまで引き上げようと、中枢は体熱の放散を減らし、反対に体熱産生を増やそうとします。
そのときに起こる皮膚血管の収縮、立毛筋の収縮によって生ずる異常な感覚を悪寒(おかん)とよびます。これによって、体熱の放散量が急速に減少します。さらに、筋肉の収縮によって体熱の産生を増加させようとする反応が起きますが、このときに起こるふるえを戦慄(せんりつ)とよんでいます。
このようにして体温調節中枢が設定したレベルまで体温が上昇してしまうと、高熱にもかかわらず、悪寒や戦慄などの異常感覚は消失します。つまり、正常より高い体温で、体熱の産生と放散の平衡が生まれた状態といえます。
ほかに発熱時の体熱産生は、骨格筋の緊張や肝臓の機能亢進による体熱産生促進があげられます。
押さえておこう寒気があるときは保温する
本人が寒気を感じているときは、体温調整中枢の調整レベルまで熱が上昇するための熱産生中で寒気があるため、体温計の数値が高くても、保温が必要です。身体の火照りを感じるようになったときは、調整レベルに至ったときであり、冷罨法の適応となります。
体温が上がりきるまで悪寒・戦慄は続くので、この時期のクーリングはより寒さを感じさせてしまい、悪寒を助長させてしまうので、行わないようにしましょう。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版