「基礎体温」は、早朝、舌下で測定するのはなぜ?

 

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は基礎体温に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

基礎体温」は、早朝、舌下で測定するのはなぜ?

 

体温の変動を最小限にし、より正確な体温を測定するためです。

 

〈目次〉

 

基礎体温とは

基礎体温とは運動・食事・精神作用のような体温に影響する因子を極力取り除いて、最も変動の少ない基礎となる体温のことです。

 

そのために、早朝(なるべく同じ時刻に)、目を覚ましたらそのまますぐ布団の中で、身体をあまり動かさないうちに測定します。

 

基礎体温の測定部位は

腋窩の測定は、左右差(0.1~0.3℃の違いがある)があり、微妙な温度差の変化を知るのに適していません。体温測定は腋窩に比べ、舌下のほうが測定が安定しており、発汗の影響もありません。

 

基礎体温曲線とは

基礎体温を毎日測定することによって、一定の周期をもった基礎体温曲線が得られます。女性の場合、この曲線の変化は、排卵・月経という卵巣からのホルモン分泌(エストロゲンプロゲステロン)の周期によるものです。

 

排卵期に高温になり、それがしばらく続き、そして月経が始まると再び体温が下がるという周期性をもっています。排卵がある場合は、1か月の体温曲線が典型的な2相性曲線となります(図1)。

 

図1成人女性の基礎体温(典型的2相性経過)

成人女性の基礎体温(典型的2相性経過)

 

(立岡弓子編著:新訂版周産期ケアマニュアル、第2版、p.13、サイオ出版、2014より改変)

 

婦人体温計とは

婦人体温計(基礎体温計)のほとんどが電子体温計です。少数点第二位まで基礎体温を測定できるようになっており、基礎体温のわずかな変化も正確に知ることができます。

 

舌下に挿入し、口腔温を測定します。予測式(体温計によって異なるが、約10~60秒で5分後の平衡温を予測)と実測式があります(図2

 

図2予測式体温計の体温測定

予測式体温計の体温測定

 

(オムロンヘルスケア株式会社.http://www.healthcare.omron.co.jp/product/mc/mc-642l.htmlより改変)

 

⇒この〔連載記事一覧〕を見る

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ