エコー(超音波)検査とCT検査の違い

画像検査のなかでも、エコー(超音波)検査は、侵襲度が低く、簡便に行える検査です。
外来や病棟で、看護師が目にすることの多いエコー検査について、コツやポイントを消化器内科医が解説します。
今回は、臨床現場におけるエコー検査の位置づけと言える「エコー(超音波)検査とCT検査の違い」についてのお話です。

 

加藤真吾
(横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科)

 

エコー検査について、ひと通り学んできましたが、おさえておくべきポイントは理解できましたか?

 

はい。普段のエコー検査でも、緊急時のFASTでも、しっかりと先生をサポートできますよ♪

 

それは心強いですね。
それでは、最後に、エコーについて、一つクイズです。
臨床現場では、エコー以外にも多くの検査がありますが、どういう時にエコー検査が選択されると思いますか?

 

う~~~ん、、、そういえば、何でエコー検査をするんだろう? 低侵襲だから?

 

エコー検査の行い方はわかっていても、その位置づけは理解が難しいと思います。
他の画像検査と比較すると、エコー検査の位置づけがわかりやすくなるので、ここで解説します

 

〈目次〉

 

エコーを行う理由がわからない

看護師さんにとって、エコーの理解が難しい理由の一つに、腹部疾患に対してエコーを行う理由がはっきりしないことが挙げられると思います。

 

心エコーでは、血液の逆流などの「流れ」や、心臓の「動き」といった動的なものを評価する必要があります。そのため、静止画のCT像より、動画で見られるエコー像の方が有用な場合がある、ということはわかりやすいと思います。しかし、動きを見る必要がない腹部エコーでは、エコーを行う明確な理由がわからない方が多いと思います。

 

また、休日や夜間でもCTを撮影できる施設の場合、CTではなく、なぜ腹部エコーを行うのかについては、理解が難しいと思います。

 

腹部疾患を診断するにはエコーよりCTの方が有利

エコーとCTのどちらが有利な検査かを、右季肋部痛のある患者さんで考えてみましょう。

 

エコーで捉えられる代表的な所見としては、肝内胆管の拡張胆嚢壁の肥厚があります。これらの所見は、非常に重要なものです。しかし、これらの所見がエコーで捉えられたとしても、CTを省略して治療を開始するという医師は少数派だと思います。逆に、CTで閉塞性黄疸胆嚢炎と診断して、エコーを省略する医師はよくいると思います。

 

このような検査の経過をよく見ている救急外来の看護師さんなどは、「腹部疾患を診断する画像検査は、CTの方がエコーより圧倒的に優れている」と思っているかもしれません。この考えは、ある意味では正しいです。

 

CTと比較した際のエコーの長所は、①被曝しない、②簡便に施行できる、などがよく挙げられます。では、肝心の画像検査としての力はどうなのかと言われると、一般的に、CTの方が情報量は圧倒的に多いです(もちろん、CTで捉えられない大きさの肝腫瘍などの場合、エコーに軍配が上がる疾患もあります)。

 

エコーの利点は迅速性と低侵襲性

では、医師は、臨床現場でエコー検査をどのように位置づけているのでしょうか? これは、救急外来と通常の外来とで、使用する場面によって大きく異なります。

 

救急外来では迅速性を活かす

救急外来では、エコーは迅速に行える利点を活かして、最低限の情報を得るために使うことが多いです。その代表的なものがFASTです。

 

CTは、どうしても撮影までに時間がかかります。特に造影CTでは、採血の結果を待って腎機能を確認してから検査を行うため、検査開始までに時間がかかります。

 

そのため、CTを行うまでにかかる時間を利用して、鑑別診断の判断材料となる必要な情報を集める役割をエコーは担っています。

 

通常外来では低侵襲性を活かす

通常の外来では、患者さんへの侵襲が少ない利点を活かして、スクリーニングや既知の病変のフォローに用いることが多いです。

 

例えば、血液検査で肝機能異常を指摘された患者さんの腹部スクリーニングエコーがそれに当たります。

 

ココが大事!状況に応じてエコーの利点は活かす

エコーは、迅速性と低侵襲性の利点を、検査の状況に併せて選ぶ!

 

検査は診断に最適なものを選択すべき

すべての検査は、その特性、長所、短所(限界)を理解して、適切に診断に役立てることが大切です。

 

エコーの場合、迅速・簡便に低侵襲で画像検査を行えることが最大の長所です。しかし、エコーだけですべて診断できると過信するのは間違いです。

 

一方で、CTは腹部疾患を診断するのに強力な検査ですが、患者さんにとって被曝という侵襲があります。このため、とりあえずCTを撮るということはせず、必要な場合にのみ使用を限るべきです。

 

 

Check Point

  • 画像診断の能力としては、エコーよりもCTの方が上です。
  • エコーは、迅速性と低侵襲性の利点を活かして選択されています。
  • 患者さんに負担がかからないよう、検査は最適なものを選択しましょう。

 

 


[執筆者]
加藤真吾
横浜市立大学附属病院がんゲノム診断科

 


Illustration:田中博志

 

 

 

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