内分泌様器官|内分泌

看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。
今回は、内分泌様器官について解説します。

 

片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授

 

〈目次〉

 

Summary

  • 内分泌専用の臓器・組織ではないがホルモンを分泌する内分泌様器官がある。
  • 腎臓は、エリスロポエチン、レニン、活性型ビタミンD3を分泌する。
  • 心臓は、ANPを分泌する。
  • 消化管は、ガストリン、セクレチン、CCK-PZなどを分泌する。
  • 胎盤は、hCGを分泌する。
  • 脂肪組織は、レプチンを分泌する。
  • 肺がんなどの腫瘍組織は、ACTHを分泌する。

 

内分泌様器官の分類

腎臓 kidney、心臓 heart、消化管 digestive tract、胎盤 placenta、脂肪組織 adipose tissue、腫瘍組織 tumor tissue などは、内分泌専用の臓器・器官ではないが、表1のようなホルモンを分泌している。

 

表1内分泌様器官

内分泌様器官

 

ギリシャ語で erythr は赤血球、poies は形成の意味があるのでエリスロポエチン erythropoiechin は、赤血球の産生を促進させる物質ということになる。レニン renin の ren は、ラテン語で腎臓を意味する。レプチン leptin の lept には、ギリシャ語で和らげるあるいはやせるという意味があり、 in は促進させる物質という意味である。

 

レプチン

脂肪組織はレプチン leptin というホルモンも分泌する。レプチンはアミノ酸186個からなるタンパク質で①摂食抑制、②エネルギー消費(熱産生)、③血糖低下作用などがある。

 

脂肪細胞が肥大するとレプチンが分泌され、視床下部 hypothalamus にある摂食中枢 feeding center に作用し、食欲を抑制するとともに褐色脂肪組織(BAT)に作用し、エネルギー代謝の増大を促す(表2)。

 

表2脂肪組織が産生するホルモン様物質の作用

脂肪組織が産生するホルモン様物質の作用

 

また、脂肪組織に血糖を取り込み、脂肪合成を促進させる結果、血糖を低下させるというインスリン様作用も示す。肥満者では、視床下部のレプチン受容体の異常、また、レプチンそのものが異常でレプチンが増加しても摂食抑制がなく(レプチン抵抗性)、肥満になっていくと考えられる。

 

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版

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