フィッシュバーグ尿濃縮試験|腎・泌尿器系の検査
看護師のための検査本『看護に生かす検査マニュアル』より。
今回は、フィッシュバーグ尿濃縮試験について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
- フィッシュバーグ尿濃縮試験とはどんな検査か
- フィッシュバーグ尿濃縮試験の目的
- フィッシュバーグ尿濃縮試験の実際
- フィッシュバーグ尿濃縮試験前後の看護の手順
- フィッシュバーグ尿濃縮試験において注意すべきこと
フィッシュバーグ尿濃縮試験とはどんな検査か
水分摂取を制限して、一定時間後に尿がどの程度濃縮されたかをみる。前日夕方から水分制限し、翌朝の尿の比重または、浸透圧を測定する。
今日では術前、化学療法治療前の腎機能評価では行われることは少ない。
フィッシュバーグ尿濃縮試験の目的
腎機能を部位別に評価する際に、遠位尿細管の水分再吸収能を知ることができる。
表1基準値
フィッシュバーグ尿濃縮試験の実際
- ①前日の夕食摂取後より翌朝検査終了後まで絶飲食とする。
- ②翌朝6時から、1時間ごとに3回(8時まで)全量を採尿する。
- ③採尿した尿は、1回分ごとの量を正確に測定し、スピッツに10mLずつ入れ、量を記入した伝票と一緒に検査室に提出する。
フィッシュバーグ尿濃縮試験前後の看護の手順
検査前日
- 夕食は6時までに済ませる。
- 水分摂取も200mL以下とし、以後、翌朝検査終了まで絶飲食とする。
- 患者への説明は、検査オリエンテーション用紙を用いて説明する(表2)。
- 氏名、時間、①②③の番号を書いた紙コップ3個を渡す。
- 前日の利尿薬、抗利尿薬の中止の指示を医師に確認する。
検査当日
- 早朝4時頃までの排尿は、捨ててもらう(蓄尿している患者は蓄尿してもらう)。
- 正確に採尿できるように朝6時になったら患者を誘導する。
- 高齢者、理解力の低下している患者には、時間ごとにコップを渡し排尿を促す。
検査後
- 検査終了を伝え、朝食をとってもらう。
フィッシュバーグ尿濃縮試験において注意すべきこと
- 水分摂取を制限することにより、尿崩症の患者では重症の脱水を起こすことがあるので注意する。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版