血液ガス検査|呼吸器系の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、血液ガス検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
血液ガス検査とはどんな検査か
動脈血を採取し動脈血中酸素分圧(Pao2)、二酸化炭素分圧(Paco2)、水素イオン指数(pH)、動脈血酸素飽和度(Sao2)、重炭酸イオン濃度(HCO3−)、塩基余剰(BE)、電解質濃度などを測定する。基準値を(表1)に示す。
表1血液ガス検査の基準値
血液ガス検査の目的
- Pao2やSao2を測定することで、肺から全身への酸素供給の状態を把握するために行う。
- Paco2を測定することで、肺胞における換気の状態を把握するために行う。
- pHとHCO3−を測定することで、酸塩基平衡を把握するために行う。
- 血液中電解質濃度を把握するために行う。
血液ガス検査の実際
- 動脈は静脈や神経と平衡して走行しているため穿刺は医師が行う。頻繁に検査を行う場合には、動脈ラインを留置し採血することもある。
- 看護師は、患者を安楽な体位に整え採血部位を露出する。一般的に、座位で採血する場合は橈骨動脈や上腕動脈、臥位で採血する場合は大腿動脈から採血する。
- 医師は、採血する動脈の拍動を確認しアルコールで消毒した後、血液ガス測定用動脈採血セットのシリンジで採血する。
- アルコール綿で動脈を押さえながら抜針し、そのまま3〜5分圧迫止血する。
- 看護師は、採血したシリンジを受け取り、安全装置を作動させ針を破棄し、空気が混入しないように専用のキャップをつける。転倒混和、シリンジを回転させることにより血液と抗凝固剤を十分に混ぜる。
- 血液ガス分析器にセットし分析を行う。
血液ガス検査前後の看護の手順
血液ガス検査前
- 必要に応じて採血予定部位に貼付型局所麻酔薬を貼付する。
- 必要物品を揃える(肘枕、防水シート、アルコール綿、血液ガス測定用動脈採血セット、ディスポーザブルグローブ)。
- 検査の説明を行い不明点の追加説明や不安の程度を把握する。
- プライバシーに配慮し、安楽な体位に整え、採血部位を露出する。
- 採血時の呼吸の観察、酸素吸入量などを記録しておく。
血液ガス検査後
- 出血の有無、腫脹、疼痛、痺れの有無を確認する。
- 止血確認を行い、再出血を起こさないよう圧迫するようにテープを貼付する。
血液ガス検査において注意すべきこと
- 静脈と異なり動脈圧は高く出血しやすいため、血腫ができていないか注意する。
- 繰り返し検査しなくてはならないことも多いため、十分に説明を行い、協力を得られるようにする。苦痛を最小限にとどめるよう配慮し共感的な態度で援助する。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版