肺生検|呼吸器系の検査
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『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、肺生検について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
肺生検とはどんな検査か
肺生検とは、肺の組織を採取し、病理学的に診断を行うための検査である。
肺生検の目的
肺生検は、肺組織を生検するのが目的である。肺中枢部に病変が存在するときは気管支鏡を、末梢に存在するときは、透視下、CT下などで生検可能であるが、その場合、末梢肺組織片は数ミリであるために特異的な肺病理像が得られないこともあり、診断は困難な場合もある。そのときは胸腔鏡を用いたり、開胸して生検を行うこともある。また、肺の組織をみることで病態の進行度が把握でき、治療の指標となる。
〈主な適応疾患〉
- 肺腫瘍
- びまん性肺疾患
肺生検の実際
●方法として以下の4つに分けられる。
- ①経気管支肺生検(TBLB)
- ②経皮的肺生検
- ③胸腔鏡下肺生検
- ④開胸肺生検
●ここでは、経皮的肺生検について述べる(経気管支肺生検は気管支鏡に準じ、開胸肺生検は開胸術に準ずる)。
- ①検査前は、絶飲食とする。
- ②検査前30分にプレメディを行う。
- ③血管確保を行う。
- ④生検部位を上にした体位をとらせ、固定する。
- ⑤透視または、CT下で採取部位を特定した上で術野を消毒する。
- ⑥局所麻酔を行い、生検針で穿刺を行う。その際、患者に息止めをさせる。
- ⑦生検し終わったら、圧迫止血を行い、ガーゼで保護する。
- ⑧2時間安静とする。出血予防のために点滴内に止血薬を投与する。
肺生検前後の看護の手順
患者への説明
- 起こりうる偶発症のリスクについて十分説明し、同意を得ることが重要である。
- 診断に欠かせない検査である。
- 血痰が出る場合があるが心配ない。
準備するもの
・ 生検針 ・消毒薬(イソジン、ハイポアルコールなど ・ 前投薬(硫酸アトロピン、ペンタゾシンなど) ・局所麻酔薬(キシロカインなど) ・血管確保の準備 ・止血薬(アドナ、トランサミンなど)
検査後の管理
下記の事項を観察する。
肺生検において注意すべきこと
出血や気胸を併発すると致命的になることもあるため、出血傾向のある患者や呼吸状態が安定していない患者、ブラ(気腫性嚢胞)の存在する患者などは、こまめにバイタルサインをチェックする。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版