気管支鏡検査|呼吸器系の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、気管支鏡検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
気管支鏡検査とはどんな検査か
気管支鏡検査とは、気管支にファイバーを挿入し、直視下で気管支粘膜を観察する検査である。また、鉗子を用いての組織の採取(経気管支肺生検:TBLB)やブラシを用いての細胞診(擦過細胞診)、気管支肺胞洗浄(BAL)などを行い、病態の診断に用いる。
喀痰吸引やステント挿入、electrosurgeryなど治療的に用いることがある。
気管支鏡検査の目的
気管支鏡検査は、胸部X線上、腫瘍を疑うとき、診断のために行う。咳や血痰等の原因を明らかにすることもできる。
気管支鏡検査の実際
- ①検査前は絶飲食とする。
- ②検査30分前にプレメディを行う。
- ③座位で咽頭麻酔を舌の先端を保持しながら行う(この際、「吸って、吐いて」と声をかける)。
- ④咽頭麻酔後、臥床で行う。
- ⑤気管支鏡を噛まないようにマウスピースをくわえさせる(口からの場合)。
- ⑥検査後2時間は絶飲食とし、2時間後うがい・飲水して異常なければ食事摂取可とする。
気管支鏡検査前後の看護の手順
患者への説明
- 診断のために必要な検査であり、基礎疾患がなければ外来でも可能な検査である。
- 気管支鏡をする前に喉にスプレーで麻酔をする。
- 血痰が出ることがあるが、心配ない。
準備するもの
- 気管支鏡
- 吸引セット
- 前投薬(硫酸アトロピン、ペンタゾシンなど)
- 粘膜麻酔薬(キシロカインスプレー)
- 止血薬(ボスミンなど)
検査後の管理(観察)
- バイタルサイン
- 動脈血酸素飽和度:検査により酸素分圧が低下する(検査前に血液ガスを測定し、酸素分圧が60Torr以下の場合は、酸素を投与する)。
- 血痰の有無
- 呼吸音:気管過敏性がある場合、喘息様発作が起こる。
- 呼吸苦や胸痛の有無:TBLB後、気胸をきたす可能性があるため、胸部X線撮影を行う。
気管支鏡検査において注意すべきこと(禁忌)
- 心疾患(検査前に病状の把握ができていれば、モニタリング下で施行する)。
- 高度の気管過敏性には注意する。
気管支鏡検査現場での患者との問答例
今から気管支鏡の検査に行きます。行く前に唾液の分泌を抑える注射をします。多少、ボーッとするかもしれません。
大丈夫ですか。
車いすで検査室まで一緒に行きますので心配ありません。
分かりました。
それでは、注射の準備をしてまいりますので、お手洗いを済ませてお待ちください。その時、血圧も測らせていただきます。
どうして血圧を測るのですか。
検査前に血圧がどれくらいか知りたいですし、注射でまれに血圧が下がる方がいらっしゃいますので確認させてください。
わかりました。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版