ホルター心電図|循環器系の検査
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『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、ホルター心電図検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
ホルター心電図とはどんな検査か
ホルター心電図とは、携帯型心電計を24時間装着し、日常生活上の心電図波形や脈拍を記録して分析する検査である。狭心症や不整脈の出現が疑われるときに行われる。
ホルター心電図の目的
24時間の心電図を記録することで日常生活活動における身体的・精神的刺激による、不整脈の検出や心筋虚血の有無を明らかにするために行う。
検査室での短時間の検査では測定できない睡眠時や運動時、自覚症状の出現時の心電図を記録し分析するため、循環器疾患の診断に有用である。
ホルター心電図の実際
- 電極を前胸部に装着し心電計のコードを接続する(図1)。記憶装置は、腹部に直接テープで固定する(装置によっては別の固定法もある)。
- 電源を入れ、心電図波形が適切か確認する。
適切な波形とは、①明瞭なP波、②高いQRS波、③観察しやすいST、④不整脈発生源が推測された誘導、である。
判読を困難にさせるノイズとは、①基線の変動、②電気機器が発生させるパルス性の雑音、③筋電図、④心電計や電極、コードのトラブルによる雑音(接触不良など)である。 - 防水機能のついた心電計を用いれば入浴も可能である。
- 検査中は、行動記録に基づき、時間と「食事」「トイレ」「運動」「睡眠」「服薬」などの生活行動を記載してもらう。
- めまい、胸痛や動悸などの自覚症状が起きたときには、イベントボタンを押し行動記録に症状を記載してもらう。
- 24時間後に検査を終了し電極を外し心電図の解析を行う。
ホルター心電図前後の看護の手順
1)検査前
- 検査の概要を説明し必要に応じて入浴をすませてもらう。
- 電極をしっかりと貼付するため装着部位の皮膚を清潔にし、体毛が多い場合には除毛を行う。アルコール綿で皮脂や汚れを落とした後、インピーダンスを下げるために皮膚前処理剤で擦る。余計な皮膚前処理剤は湿らせたガーゼなどで拭き取る。
- 入浴の可否や日常生活行動は普段通りに行ってよいことを説明する(安静にしてしまうと活動による影響がわからなくなる)。
- 電池残量、時計、心電計が正しく動作するかどうか確認する。
- 心電計の取り扱い方を説明する。
- イベントボタンと行動記録の記載について説明する。
2)検査後
- 電極貼付による皮膚への影響を確認する。
- 検査中の行動記録や生活活動について不明点や不足点があれば確認する。
ホルター心電図において注意すべきこと
- 認知機能低下や強い不安がある患者など、24時間の管理ができない可能性がある場合、看護師が行動の確認や代筆を行う。自宅で行う場合には、家族にも協力を依頼する。
- 長時間にわたる検査であり、病院外で行うことも多いためトラブルがないように準備する。またトラブル発生時の対処法について十分説明を行う。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版