計算式&早見表付き! 看護師の上手な失業保険のもらい方
次の仕事までブランクがあるときに心強いのが、いわゆる「失業保険(失業手当)」。
手続きが遅れると満額もらえなくなることもあるので、手続きはお早めに。
目次
※雇用保険の詳細はこちら:雇用保険手続きのご案内|ハローワーク
2020年10月1日より、自己都合により退職した場合の給付制限期間が原則2カ月に短縮されます。
※雇用保険の失業給付制限期間の変更はこちら:改正「給付制限期間」が2か月に短縮されます|厚生労働省
失業保険とは?もらう条件は?
失業保険とは、雇用保険の制度の一つで、失業した人が新しい仕事に就くまでの生活を支援する手当のこと。
正式には「基本手当」といいます。
失業保険をもらうには、下記2つの条件を満たす必要があります。
1働くことができ、仕事を探している
失業保険をもらうための1つ目の条件は、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、就職活動をしても就職できない状態であることです。
また、下記のような状況では、もらうことができません。
- 離職時にすでに次の就職先が決まっている
- しばらく働かず海外旅行をする
- 病気やけがで働けない
- 妊娠・出産・育児で働けない
しかし、病気やけが、妊娠・出産・育児が理由で、離職後1年以内に30日以上継続して働けない期間がある場合は、受給期間の延長申請をすることができます。
失業保険の受給期間は最大3年間まで延長可能で、働ける状態になった後に手続きすればもらえます。
2雇用保険の加入期間が12カ月以上
失業保険をもらうための2つ目の条件は、離職日前の2年間に雇用保険の加入期間が通算して12カ月以上あることです。
※給料の支払いが11日以上ある月を1カ月と換算します。
閉院など病院都合による離職の場合、条件が少しゆるくなり、雇用保険の加入期間は離職日前の1年間に通算6カ月以上でよいとされます。
雇用保険の加入状況や期間は職場に確認すればわかりますが、聞きづらい場合は、給与明細で「雇用保険料」が引かれているかを見てみましょう。
失業保険でもらえる金額は?
失業保険でもらえるのは、これまでの給料の5~8割ほどです。
具体的には、「一日当たりの額(基本手当日額)」に「給付日数」を掛けたもので、もらえる金額や日数は人によって異なります。
基本手当日額【計算式】
失業保険の基本手当日額は、これまでの給料を元に計算されます。
具体的には、離職前6カ月分の給料(賞与は除く)を180で割った数に給付率(45~80%)を掛けた額です。
基本手当日額には上限があり、給料が高いほど給付率は低くなります。
例えば、20代後半の看護師の平均月収32万円で考えると、もらえる失業手当はおよそ月18万円です。
※基本手当日額の詳細はこちら:基本手当日額の計算方法|厚生労働省
もらえる日数【早見表】
※基本手当の所定給付日数はこちら:基本手当の所定給付日数|ハローワーク
失業保険の手当がもらえる期間は、再就職先が見つかるまでです。
もらえる日数は90日から360日で、離職した際の年齢や雇用保険の加入期間、離職理由などによって決まります。
転職や子育てのためなど自己都合の離職や定年退職よりも、閉院など病院都合で離職を余儀なくされた人や就職困難な人(身体障害・知的障害・精神障害や社会的事情による就職困難)の方が手厚くなっています。
失業保険の手当は、手続き後すぐにもらえるわけではありません。
離職後、ハローワークへ離職票を提出した日から7日間は「待機期間」とされ、その間は手当は支給されません。
しかも、実際に手当が振り込まれるのは、1カ月ほど先です。
また、自己都合で離職した場合、待機期間の終了後、原則2カ月間は「給付制限」と呼ばれる期間があり、支給が始まるのはさらに先になります。
失業保険はどうすればもらえるの?
失業保険の手続きは、お住まいの地域を管轄するハローワークで行います。
最寄りのハローワークとは異なる場合がありますので、確認してから出掛けましょう。
※ハローワークの所在地はこちら:全国のハローワークの所在案内|ハローワーク
失業保険をもらうまでの4ステップ
失業保険の手当をもらうまでには、おおまかに4つのステップがあります。
まずは、下記の書類を準備し、ハローワークで求職の申し込みを行った上で、失業保険の受給申し込みをしましょう。
離職票は、離職日から2週間前後に前の職場から送られてくるのが一般的です。
【申し込み必要な書類等】
- 雇用保険被保険者離職票1・2
- マイナンバーのわかる書類
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 顔写真2枚(3cm✕2.5cm)
- 印鑑
- 通帳またはキャッシュカード
失業保険の受給資格があると判断されれば、受給説明会の日時が案内され、「雇用保険受給資格者のしおり」が渡されます。
説明会では失業保険の受給についての具体的な説明がありますので、指定日時に必ず出席しましょう。このタイミングで、1回目の失業認定日(申請日から約4週間後)が知らされます。
【説明会の持ち物】
- 雇用保険受給資格者のしおり
- 印鑑
- 筆記用具
失業認定の結果、受給資格があると認められれば、失業認定日から通常5営業日後に、指定した金融機関の預金口座に給付金が振り込まれます。
ただし、自己都合の場合は、給付制限期間がありますので、1回目に支給されるのは失業認定日の約3カ月後です。
受給が始まった後は、再就職先がみつかるまで「失業認定」⇒「受給」を繰り返すことになります。
求職活動の実績とは、求人への応募、ハローワークや転職サービスで職業相談や職業紹介を受けたことなど、具体的に行った求職活動のことです。
求人サイトの閲覧や知人への紹介依頼などだけでは実績として認められません。
また、原則として前の失業認定日から次の失業認定日までに2回以上(自己都合の離職は待機期間終了から2回目の失業認定日までに3回以上)の活動実績が必要とされます。
失業保険のあれこれQ&A
失業保険のよくある疑問を紹介します
失業保険の申し込みから7日間の待機期間は禁止されています。
アルバイトやパートは、待機期間が終わった後の給付制限期間中や失業手当の受給中であれば、就職とみなされない範囲内で可能です。
ただし、仕事をした日は支給対象とならなかったり、収入額によって減額されたりする場合があるため、詳細は管轄のハローワークに確認しましょう。
キャリアアドバイザー
アルバイトやパートをした場合は、失業認定申告書での申告が必要です。申告しなければ不正受給とみなされ、支給停止や不正受給額の約3倍の違反金を納付しなければならない場合があります。
自身が配偶者等の被扶養者である場合、受給条件を満たしていれば失業保険をもらえます。
ただし、失業保険の手当をもらうと扶養家族から外される場合がありますので、配偶者等の加入している健康保険組合や職場の福利厚生担当に確認しましょう。
また、自身に扶養家族がいる場合は、残念ながら失業手当の増額などはありません。
雇用保険に加入していて失業保険をもらう条件を満たしていればもらえます。
派遣やパートという雇用形態にかかわらず、「31日以上働く見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上」の仕事であれば、雇用保険に加入できます。
給与明細で雇用保険料が引かれているかどうか確認してみましょう。
住所変更の手続きを行えば、引っ越し先の地域を管轄するハローワークで申し込み手続きができます。
引っ越しをするのが1カ月以上先になる場合、支給開始が遅れないよう、引越し前の住所を管轄するハローワークで、先に申し込みや住所変更の届出を行っておきましょう。
そうすれば、タイムロスを減らし、引越し先の管轄のハローワークでスムーズに失業認定を受けられます。
失業保険をすでに受給中の場合も、引越し前に住所変更の手続きをしましょう。
まずは前職の病院事務担当者に催促してみましょう。
離職票は基本的に、退職日から2週間以内に届くのが一般的ですが、退職前に必要であると伝えていないと発行されなかったり、病院が送付するのを忘れていたりする場合があります。
もし、催促してもなかなか送付してもらえないのであれば、ハローワークに相談してみましょう。
ハローワークから病院へ催促してくれるはずです。
早めに再就職が決まった場合、失業保険の給付額の6~7割に相当する「再就職手当」がもらえる場合があります。
この「再就職手当」は、自己都合による離職で失業保険の申し込みが済んでいれば、3カ月の給付制限期間中でも、下記の条件を満たしていればもらえます。
再就職手当をもらう条件
※下記すべて満たす必要あり
- 基本手当の給付日数が3分の1以上残っている
- 1年以上働くことが確実である
- 待機期間(7日)が終わった後の就職である
- 自己都合で待機期間終了後1カ月以内の場合、ハローワークや人材紹介会社を利用した就職である
- 再就職先の事業主が離職前と同じではない(関連施設もNG)
また、再就職手当の受給者で再就職後の給料が離職前より低い場合に受けられる「就業促進定着手当」や、再就職手当の支給対象とならない常勤以外の形で再就職した場合にもらえる「就業手当」などもあります。
そのほかにも、下記のような再就職を支援する手当がいろいろあります。
【再就職を支援する手当】
- 広域求職活動費
ハローワークや人材紹介会社の紹介による遠方で求職活動する手当
- 移転費
ハローワークや人材紹介会社の紹介で転職するために引っ越す際の手当
- 短期訓練受講費
再就職のために必要な職業訓練を修了した場合にかかった費用の2割(上限10万円)支給
- 求職活動関係役務利用
面接や職業訓練などのために子どもの保育等サービスを利用した場合にかかる費用
こうした手当を有効に活用し、納得できる再就職先を探しましょう。
※就職促進給付はこちら:就職促進給付|ハローワーク