在宅ではどんな看護をするの? 訪問先での流れ&仕事内容
訪問看護師はどんな看護を行うのでしょうか。病棟と違ってイメージしにくい訪問先での仕事の流れを見てみましょう。
目次
訪問先での仕事の流れ・仕事内容
訪問先(利用者さんのご自宅等)に着いたら、まずは玄関先でごあいさつ。
「おはようございます(こんにちは)、◯◯訪問看護ステーションの□□です!」と明るくあいさつして、お邪魔します。
1件あたりの訪問時間は「30~90分」が基本で、「60分」の訪問が最も一般的です。
先輩からヒトコト
利用者さんやご家族の状況によっては、あいさつの声量は控えめに…!
「洗面所をお借りします」などとお声がけしてから、手を洗います。感染予防の基本は在宅でも同じです。
手洗いを終えたら、タオルや衛生材料、処置の器具・材料など、利用者さんのケアに合わせて必要な物品を準備します。
タオルなどは、基本的に利用者さんのご自宅にあるものを使用します。
ご家族が用意してくれたり、2回目以降の訪問や独居の利用者さんの訪問では、了承を得て、訪問看護師が収納場所から出したりもします。
先輩からヒトコト
物品は利用者さんの購入・負担となるものもあるので、使い方にも配慮しましょう。
利用者さん・ご家族から体調や生活状況について話を聞いたり、バイタルサインをチェックしたりします。
「暑さのせいか食事が進まない」「このところ便秘気味で…」「なんとなくダルくて…」など、ちょっとした不調・不安も気兼ねなく話してもらえるよう、リラックスした雰囲気づくりが大切です。
症状が重症化していないか、褥瘡の兆候がないかなど、フィジカルアセスメントもしっかり行います。
先輩からヒトコト
介護者であるご家族のケアも、訪問看護師の大切な役割です。ご家族の不調にも気を配ります。
また、生活環境に気になる変化がないかも、さりげなくチェック!
「いつもは片付いているのに雑然としている」「趣味の将棋を指した形跡がない」などは、心身の不調が影響しているかもしれません。
利用者さんの症状・状態に応じて必要な処置・ケアを行います。
- カテーテル、カニューレ管理
- 排痰、吸引
- 在宅酸素療法の管理
- ストーマケア
- 排泄ケア
- 清潔ケア
- 栄養管理
- 口腔ケア
- スキンケア、褥瘡ケア
- 服薬の管理、サポート
- リハビリ
…など
先輩からヒトコト
1人での判断が難しいときは、ステーションの上司・先輩ナースに電話で相談することも。皮膚の状態などを写真に撮って送り、確認してもらいながらアドバイスを受けることもあります。
ケアの方法や医療機器の扱い方など、療養生活を送るうえで必要なことを指導したり、困りごとの相談に乗ったりしながら、利用者さん・ご家族のセルフケア能力を高めるサポートを行います。
利用者さんのご自宅に置いてある「連絡ノート」は、とても重要な情報共有ツールです。
在宅で療養生活を送る利用者さんには、訪問看護師だけでなく、多職種・多施設の人がかかわります。
ノートには、医師、訪問看護師、ホームヘルパー、訪問薬剤師などが訪問するたびに記入し、それぞれ実施したケア内容や気づき、連絡事項などを共有します。
次の訪問日などを確認し、あいさつして終了です。
訪問看護は「次の訪問まで見通すケア」
訪問看護師が訪問先で行う処置・ケアや指導は「次の訪問日まで、問題なく療養生活を送れるようにする」のが大切なポイントです。
発熱しそう、症状が悪化しそう、トラブルが起こりそうといった予兆をキャッチして、予防的なケアを行ったり、あらかじめ受診を促したり、予測される症状と対応方法をご家族に伝えておいたりすることで、安心して過ごしてもらうことができます。
先輩からヒトコト
訪問日の日中にこうしたケアをしておくことは、オンコールや緊急訪問を減らすことにもつながります。
「高齢者施設」も訪問先のひとつ
利用者さんの中には、高齢者の住まいの施設(グループホーム、サービス付き高齢者住宅、ケアハウス、小規模多機能居宅介護など)で暮らす方も。
訪問看護師はこれら介護施設にも訪問しますが、基本的な仕事の流れや仕事内容は、個人宅と同じです。
介護職員とのコミュニケーションが大切
施設の場合、利用者さんのご家族と直接会う機会は少なく、代わりに介護職員との連携・コミュニケーションが重要になります。
今後は、医療依存度の高い方が病院から施設に退院するケースが増えていくとみられ、高齢者施設での医療・看取りのニーズが高まっていきます。
地域の高齢者施設と訪問看護ステーションが連携して入居者をサポートしている例も多く、訪問看護師が活躍する場は、ますます広がっていくでしょう。
訪問看護師をもっと知りたい!
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