脳卒中看護認定看護師になるには?役割や仕事内容についても解説

看護師が取りたい資格図鑑『脳卒中看護認定看護師』の記事のMV

 

脳卒中看護認定看護師は、脳卒中看護のスペシャリストであることを証明する資格です。資格を生かして、脳卒中患者さんやその家族に対して最適なケアができるようになります。

 

この記事では、脳卒中看護認定看護師の仕事内容資格を取るメリット資格を取るまでの流れなどについて解説します。

 

 

脳卒中看護認定看護師とは?

脳卒中看護認定看護師は、脳卒中の患者さんに対して、専門性の高い看護を実践するための資格です。

 

この資格を生かして、患者さんの異常を早期に発見し重篤化や再発を回避する、脳卒中の後遺症のある患者さんの嚥下や排尿といった日常生活に必要な動作ができるようケアするなどの役割を担います。

 

2023年12月時点で、2,316名の脳卒中看護認定看護師が活躍しています。

 

 

「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師」との違い

脳卒中看護認定看護師は、A課程、B課程という教育カリキュラムの違いで名称が異なります

 

A課程は「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師」という名称です。

 

しかし、「リハビリテーション」という名称では、看護の場が限定されるイメージがあるのではとの観点から、2019年度より創設されたB課程では「脳卒中看護認定看護師」という名称になりました

 

加えて、「脳卒中看護」のカリキュラムでは、薬剤投与に関する特定行為研修が増えています。

 

「脳卒中リハビリテーション」の資格は現在でも有効ですが、2026年にはA課程の教育は終了してしまうため、新規に取得する場合は「脳卒中看護」での受験を考える人が多いです。

 

 

脳卒中看護認定看護師に求められる役割とは

認定看護師になると、「実践」「指導」「相談」の3つの役割が求められます。

 

日本看護協会は、認定看護師の役割を次のように定義しています。

 

認定看護師の役割を表した図版。1実践、2指導、3相談がある

出典:日本看護協会「認定看護師

 

それぞれ分かりやすく解説していきます。


脳卒中看護認定看護師には、次のような役割があります。

 

 

脳卒中看護認定看護師の役割①「実践」

「実践」は脳卒中患者さんや、そのご家族に対して質の高い看護を行うことです。

 

脳卒中による機能障害を回復させるために、病態に合ったリハビリとそのサポートを早期に行います。また患者さんやご家族の不安・疑問の解消に努めます。

 

 

脳卒中看護認定看護師の役割②「指導」

「指導」は脳卒中患者さんの看護にあたるほかの看護師さんへの教育やサポートを行うことです。

 

脳卒中に関する学習会を企画する、OJTを実施するなどを通じて、ほかの看護師にサポートやケアの仕方を指導します。

 

 

脳卒中看護認定看護師の役割③「相談」

「相談」は脳卒中患者さんの治療にあたるさまざまな職種と連携し、自立に向けた最適なサポートを一緒に考えることです。

 

医師・リハビリスタッフの相談を受けたり、逆に意見をもらったりして連携を図り、よりよいケアにつなげます。

 

 

脳卒中看護認定看護師になるには?    

脳卒中看護認定看護師になるには、どういったステップを踏めばいいのでしょうか? ここでは、資格取得までの流れや通う学校、かかる費用、合格率などを解説します。

 

 

脳卒中看護認定看護師になるまでの流れ

脳卒中看護認定看護師になるまでの流れは、次の通りです。

 

脳卒中看護認定看護師になるまでの流れを表した図版。

 

なお、A課程とB課程で学習方法や学習時間が異なりますが、認定を受けるまでの流れは同じです。

 

 

脳卒中看護認定看護師になるための学校は?

認定看護師を取得するには、指定された教育機関で、A課程・B課程のそれぞれで決められたカリキュラムに沿って学習する必要があります。

 

脳卒中看護分野の対象学校は、A課程・B課程ともに1箇所のみです。

 

A課程の対象学校(2024年5月時点の学校名)

埼玉県:国立障害者リハビリテーションセンター学院

 

B課程の対象学校(2024年5月時点の学校名)

熊本県:熊本保健科学大学キャリア教育研修センター認定看護師教育課程

 

A課程とB課程の主な違いは、専門性の高い知識や技術を習得できる研修制度である「特定行為研修」があるかないかです。具体的なカリキュラムについて、詳しくは以下をご確認ください。

 

 

 

脳卒中看護認定看護師の試験内容・合格率

認定審査の試験内容は、例年以下のように設定されています。

 

  • 試験時間:100分
  • 会場:都道府県ごとの所定の会場
  • 試験形式:筆記試験(マークシート方式・四肢択一式)
  • 問題数:計40問(150点満点)
  • 合格率:日本看護協会からの発表はなし

参考:日本看護協会「2024年 第32回認定看護師認定審査実施概要」

 

合格率は公式には発表されていません

 

ただ、入学試験の準備や800時間の教育課程での学習などがあるため、相当量の学習は必要でしょう。

 

認定審査では「認定看護師教育基準カリキュラム」に沿った基礎知識を中心に出題されます。カリキュラムをしっかり受講して、試験に備えましょう。

 

 

脳卒中看護認定看護師の資格取得にかかる期間と費用

脳卒中看護認定看護師の資格を取る場合、次のような費用時間がかかります。

 

 

資格取得までにかかる期間

脳卒中看護認定看護師の資格取得までには、1年半以上かかります。

 

資格取得までのスケジュール例

時期 できごと
4月 入学、共通科目開始
9月~10月 専門科目開始
11月中旬 実習
翌年2月 修了試験
10月  認定審査
12月 認定審査の合格発表、認定看護師認定証交付・登録

参考:「年間スケジュール(A課程・国立障害者リハビリテーションセンター学院)」、「年間スケジュール(B課程・熊本保健科学大学キャリア教育研修センター認定看護師教育課程)」

 

A課程は615時間、B課程は797時間の教育カリキュラムをおよそ1年間かけて受講します。その後受験や認定登録をするため、合計すると1年半以上となります。

 

学校に通う期間が長くなるため、退職や休職が必要なケースもあります

 

勤務先によっては、認定看護師取得のために進んで休職を受け入れてくれたり、勤務扱いにしてくれたりするところもありますので、自身の病院の制度について事前に確認しておきましょう。

 

 

資格取得に必要な費用

脳卒中看護認定看護師になるための費用は、学校への入学から資格取得までで100~140万円程度かかります。

 

認定看護師の資格取得にかかる費用の例

項目 金額
入学試験の受験料 5万円
入学金 5万円
受講料 80~120万円
認定審査の受験料 5万円
認定料 5万円

 

さらに、ここに数万円の教材費と、遠方の学校に通う場合は引っ越し費用や通学のための交通費なども発生します。

 

トータルでかかる金額は人によって違うため、どのくらいかかるのか事前に見積もりしておくとよいでしょう。

 

費用の工面は、日本看護協会による「認定看護師教育課程奨学金」などを活用することも、選択肢の一つです。詳しくは、日本看護協会のホームページを確認しましょう。

 

 

また、勤務先の病院で補助制度を設けているケースもあります。自分の勤務先の制度を確認してみてもよいですね。

 

 

脳卒中看護認定看護師の仕事内容

脳卒中看護認定看護師は脳卒中に関して「知識も経験もあるスペシャリスト」として、脳卒中患者さんに最適な看護やリハビリテーションの支援を行います。

 

また、ケアチーム内で他の看護師に対する脳卒中看護の指導や相談相手となることがこれまで以上に増えるでしょう。

 

その他、その知識・技術を生かして、脳卒中予防に関心のある市民に対する生活指導を行ったり、市民公開講座の講師を務めたりして、地域の脳卒中予防に貢献する仕事も任されやすくなります。

 

 

脳卒中看護認定看護師になるメリット

資格の取得には次のようなメリットがあります。

 

脳卒中認定看護師になるためのメリットをかいせつした図版。1)脳卒中看護のスキルアップにつながる、2)看護師としてのキャリアアップにつながる

 

1脳卒中看護のスキルアップにつながる

脳卒中看護認定看護師の教育課程において、講義では病期や病態の理解が深まり臨地実習では看護やリハビリテーションの知識・経験を積むことができます

 

脳卒中看護に対するスキルアップによってケアの質も高まり、自分の看護業務にも自信が持てるでしょう。

 

 

2看護師としてのキャリアアップにつながる

脳卒中看護認定看護師になれば、脳卒中看護の分野でのキャリアアップにつながります。

 

その分野のスペシャリストとしてキャリアを積み重ねられるだけでなく、周囲からも「意欲と知識のある看護師さん」と評価されやすいです。

 

また頼れるベテランナースとして病院内でも高く評価される可能性があるほか、転職にも有利になるでしょう。

 

 

まとめ

脳卒中看護認定看護師になることで、脳卒中看護のスキルアップにつながります。

 

「脳卒中患者さんが日常生活を取り戻すためのサポートを強化したい」
「多職種と連携して脳卒中患者さんをサポートしたい」

 

という考えの看護師さんは、挑戦してみてもよいかもしれません。
 

執筆:看護roo!編集部

 

 

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