小児プライマリケア認定看護師とは?役割や資格取得の流れも解説

看護師が取りたい資格図鑑「小児プライマリケア認定看護師」の記事のMV

 

小児プライマリケア認定看護師は、小児看護のスペシャリストとして子どもの健康問題に広く関わり、小児患者さんとご家族へ最適なケアを提供する資格です。

 

この記事では、小児プライマリケア認定看護師の仕事内容資格を取るメリット、資格を取るまでの流れなどについて解説します。
 

 

 

小児プライマリケア認定看護師とは?

小児プライマリケア認定看護師は、子どもの健康と福祉に関する問題を支援するための認定看護師資格です。

 

救急時だけでなく、子どもの健康問題に幅広く対応する役割を担い、時には地域のほかの病院や福祉施設と連携して子どもの成長を支援することもあります。

 

2019年に、「小児救急看護認定看護師」から「小児プライマリケア認定看護師」と名称が変わりました。

 

現在、小児救急看護認定看護師は238人、小児プライマリケア認定看護師は27人が取得しています。

 

 

小児プライマリケア認定看護師の役割

認定看護師になると、「実践」「指導」「相談」の3つの役割が求められます。

 

日本看護協会は、認定看護師の役割を次のように定義しています。

 

認定看護師の役割を表した図版。1実践、2指導、3相談がある

出典:日本看護協会「認定看護師

 

これを小児プライマリケア認定看護師に当てはめると、どのようになるでしょうか。具体的に解説します。

 

 

小児プライマリケア認定看護師の役割①「実践」

「実践」は、専門的な知識と高度な技術を生かし、病気を持つ子どもや生活する環境に問題のある子どもに寄り添い、ケアを提供することです。

 

子どもたちの治療のサポートや緩和ケア、重症化の予防、救命時のトリアージなど医療行為に加え、虐待の予防や育児不安の解消など、子どもが安全に成長するための環境づくりの支援も求められます。
 

 

小児プライマリケア認定看護師の役割②「指導」

「指導」は、ほかの看護師へ最適なケアの方法などを指導することです。

 

子どもやご家族の不安やストレスを取り除く関わり方や、虐待や養育不良の防止策や対応策の考え方など、OJTや勉強会などでレクチャーします。

 

 

小児プライマリケア認定看護師の役割③「相談」

ほかの職種の方と連携して、適切な看護ケアを検討することが「相談」です。

 

小児プライマリケア認定看護師は、地域のほかの医師や看護師、福祉関連の職員などと連携する場面が多くあります。

 

認定看護師はそれぞれの意見をまとめる役割を担い、子どものケアのために最適な方法を考えます。

 

 

小児プライマリケア認定看護師の仕事内容と働く場所

認定看護師の仕事として多いのは若手看護師への指導や、地域の病院の医師や看護師、ヘルパーなどと連携して最適な看護ケアを考える場面のようです。

 

子どもは症状の急変や重症化が起こりやすく、小児プライマリケア認定看護師は、知識や技術を生かしてリスクを予測しながら迅速にトリアージすることや、重症化予防の高度な看護を提供することが求められます。

 

虐待の発見や予防に関わるのも仕事の一つです。子どもの心身の状態を観察して早期発見につなげます。高度な看護技術や知識だけでなく、子どもの健康をさまざまな視点でケアする能力が必要です。

 

続いて、小児プライマリケア認定看護師の働く場所は、子どもに関わる医療機関や施設が中心です。

 

病院のNICU小児科病棟をはじめ、地域との関わりが深い訪問看護ステーションや福祉施設などもあります。

 

 

小児プライマリケア認定看護師になるメリット

小児プライマリケア認定看護師の資格取得には、次のようなメリットがあります。

 

小児プライマリケア認定看護師になるためのメリットを解説した図版。1)子どもの発育に関する幅広い知識が身につく、2)虐待防止や育児支援などの対応方法が学べる、3)子どもや家族の信頼を得られる

 

子どもの発育に関する幅広い知識が身につく

小児プライマリケア認定看護師は、勉強や経験を通して、救急時の看護技術や知識だけでなく、子どもの発育や福祉的な側面についての知識を得られます

 

子どもの病気の治療だけでなく、家庭や生活から支えたいと考える看護師にとってはメリットとなるでしょう。

 

 

虐待防止や育児支援などの対応方法が学べる

小児プライマリケア認定看護師の勉強を通して専門的な知識を身につけることで、虐待防止や育児支援の最適な方法を考えられるようになります

 

例えば、虐待の問題を抱える子どもやご家族への関わり方、防止する方法、くり返さない対策を看護の視点で考え、ほかの看護師や福祉施設の職員へ提案する力が身につきます。

 

 

子どもや家族の信頼を得られる

病気への不安や恐怖を抱える子どもやご家族は多くいます。

 

専門的な知識とスキルをもって質の高い看護ケアを提供できることは、子どもやご家族(両親)に安心感を持ってもらうことにつながり、前向きに病気と向き合わせるきっかけになるでしょう。

 

 

小児プライマリケア認定看護師になるには?

小児プライマリケア認定看護師になるまでの流れや通う学校、かかる費用などを解説します。

 

 

小児プライマリケア認定看護師になるまでの流れ

認定看護師資格を取得するまでには4つのステップがあります。

 

 

小児プライマリケアの実務経験とは、普段から小児患者さんと関わり、5例以上の看護実績を持つことが必要です。

 

例えば、小児病棟や小児専門病院などで働き、人工呼吸器や気管カニューレを必要とする小児患者さんの看護を経験していることが望ましいとされています。

 

 

小児プライマリケア認定看護師になるための学校や勉強内容

小児プライマリケア認定看護師の授業を開講している学校は、2024年では神奈川県の「済生会横浜市東部病院人材開発センター認定看護師教育課程」1カ所のみとなります。

 

最新の募集状況については、日本看護協会の分野別教育機関一覧を確認しましょう。

 

勉強内容ですが、教育機関では、小児看護に関する高度な知識・技術を学べます。

 

具体的には、緊急性の高い病気の処置や日々の治療、患者さんとご家族の心のケア、虐待や不適切な養育の予防、早期発見、対策の方法などを学習します。また、ほかの看護師や他職種への指導・相談の方法なども学べます。

 

詳しくは日本看護協会の認定看護師教育基準カリキュラムで確認することができます。

 

 

小児プライマリケア認定看護師の試験内容と難易度

認定審査の試験内容は、例年以下のように設定されています。

 

  • 試験時間:100分
  • 会場:都道府県ごとの所定の会場
  • 試験形式:筆記試験(マークシート方式・四肢択一式)
  • 問題数:計40問(150点満点)
  • 合格率:日本看護協会からの発表はなし

参考:日本看護協会「2024年 第32回認定看護師認定審査実施概要」

 

難易度は易しくはないようです。合格率の公式発表はありませんが、入学試験の準備や800時間の教育課程での学習などがあるため、相当量の学習は必要でしょう。

 

認定審査では「認定看護師教育基準カリキュラム」に沿った基礎知識を中心に出題されます。カリキュラムをしっかり受講して、試験に備えましょう。

 

 

小児プライマリケア認定看護師になるためにかかる費用と時間

小児プライマリケア認定看護師になるためにかかる費用と時間についてみてみましょう。

 

 

資格取得までにかかる費用

認定看護師になるには、教育機関の入学金と授業料、認定審査を受けるための検定料など総額で130万円程度かかります。

 

認定看護師の資格取得にかかる費用の例

項目 金額
入学試験の受験料 5万円
入学金 5万円
受講料 110万円
認定審査の受験料 5万円
認定料 5万円

参考:済生会横浜市東部病院 人材開発センター「2025年度認定看護師教育課程 小児プライマリケア分野(B 課程教育機関)

 

さらに、ここに数万円の教材費と、遠方の学校に通う場合は引っ越し費用や通学のための交通費なども発生します。

 

費用の工面は、日本看護協会による「認定看護師教育課程奨学金」などを活用することも、選択肢の一つです。詳しくは、日本看護協会のホームページを確認しましょう。

 

 

また、勤務先の病院で補助制度を設けているケースもあります。自分の勤務先の制度を確認してみてもよいですね。

 

 

資格取得にかかる時間

小児プライマリケア認定看護師の資格を取るまでには、約2年かかります。

 

資格取得までのスケジュール例

時期 できごと
4月 入学
4月~5月 カリキュラム開講、特定行為研修開始
6月~8月 専門科目開始
9月 共通科目開始
翌年2月 修了試験
3月 修了式
10月 認定審査
12月 認定審査の合格発表、認定看護師認定証交付・登録

参考:「年間スケジュール(A課程・国立障害者リハビリテーションセンター学院)」、「年間スケジュール(B課程・熊本保健科学大学キャリア教育研修センター認定看護師教育課程)」

 

教育機関に通っている間の約1年間は、休職や一時的な退職を考える必要がありそうです。

 

病院によっては、認定看護師取得のための休職の受け入れや、勤務扱いとして対応してくれるところもあります。受験を考える際は、ご自身の病院の制度などについて事前に確認しておきましょう。

 

 

まとめ

小児プライマリケア認定看護師は、病気と闘う子どもやご家族に寄り添い質の高いケアを提供し、子どもの健康や福祉の問題に対する支援を行います。

 

小児科病棟や小児専門医療センターで働く看護師さんで、より高度な知識や技術を持って小児医療に関わりたいと考える人におすすめの資格です。
 

執筆:看護roo!編集部

 

 

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