あなたは、気遣いナース?ルーチンワークナース?

 

「気遣いナース」と「 ルーチンワークナース」の違いは?

以前、患者さんからこんな手記をもらったことがあります。

 

看護師には、「ルーチンワークナース」と「気遣いナース」という2種類のタイプがいるように思う。

 

「ルーチンワークナース」は一般的なナースで、ルールを大切にし、淡々と業務をこなす。

 

一方、「気遣いナース」は看護に情熱的である。

病室に入ってきた時、真っ先に見るのは患者の顔色であり、輸液の残量ではない。

看護師の基本的な業務をこなせば十分だとは思っておらず、患者の気持ちに寄り添うことを重視する。

しかし、患者に必要以上の感情移入をして、泣いてしまうこともある。

 

患者一人一人に応じてバランスが必要だと思うが、そもそものマインドが異なるので、途中でタイプを変えるのは難しいかもしれない。

※内容を一部改変し、許可を得て紹介しています。

 

私はこれを読んで、とても興味深く感じました。

患者さんは、こちらが思う以上に、看護師の姿勢をよく見ているのです。

 

看護師は、医師より近い立場で、患者さんと最も頻繁に接する職種です。看護観の違いまで見抜いてしまう患者さんもいるのだと、驚いたのを覚えています。

 

この手記をいただいて数年後、偶然、私自身が入院を経験することになりました。

整形外科の手術を受け、その後のリハビリを含め、1か月近くの長期入院でした。

 

この時、私は医師になって初めて「患者体験」をすることになります。ここで私は、まさに、冒頭に紹介した2タイプの看護師の存在を体感することになりました。

 

手記でも語られる通り、どちらが良い・悪い、という二元論ではありません

 

ただ、患者の立場で感じたことは、自分のつらさ、しんどさ、悩みを話した時、「もしかしたら解決につながるかもしれない」と思える相手は、「気遣いナース」の方でした

話すことに意味があるかもしれない。そう思えたら、本音を話せるのです。

 

看護の「グラデーション」の中で

 

ひるがえって、看護師の立場から見るとどうでしょうか。

 

「気遣いナース」は、おそらく患者さんの本音を聞き出せる、つまり、たくさんの情報を得ることができる点で有利と言えます。

患者さんにとってベストなケアを行うには、患者さんの思いを知ることが何より不可欠だからです。

 

そもそも患者さんの中には、「医師には話せないが、看護師には話せること」を持っている人が多くいます

 

私はよく病棟看護師に、「〇〇さんは、これについて何か言っていましたか?」「何かつらい思いをしていることはなさそうですか?」と聞いて、情報を得るようにしています。

 

もちろん、手記にも書かれている通り、バランスは大切です。あまりに近い立場で感情を動かし続けると、メンタルが持ちません。

プロフェッショナルとして、患者さんと適切な距離感を保つ必要があるでしょう。

 

また、「ルーチンワークナース」と「気遣いナース」は、必ずしも二分できるものではなく、その間にはきっとグラデーションがあります

 

看護師の皆さんは、自分がどんな立ち位置で看護をしたいか、一度考えてみると「目指すべき看護師像」が見えてくるかもしれません

 

 

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執筆

田附興風会 医学研究所北野病院 消化器外科/腫瘍研究部 医員・研究員山本健人

医師・博士(医学)。平成22年京都大学医学部卒業後、複数の市中病院勤務を経て、現職。 医療情報サイト「外科医の視点」を運営し、累計1200万PV超。資格は外科専門医、消化器外科専門医、消化器病専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、がん治療認定医 、感染症専門医など。
「外科医けいゆう」のペンネームで、TwitterInstagramFacebookを通して様々な活動を行い、読者から寄せられる疑問に日々答えている。

編集:宮本 諒介(看護roo!編集部)

 

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