島民の笑顔を守る!隠岐島ナース|へき地・離島ナースリレーコラム【13】

へき地・離島で働く看護師リレーコラム。13回目は、島根県の隠岐島で働く“キコ”さん。隠岐島からお届けする最後のコラムは、都市部との患者の違いについてです!

 

●キコさんの今までのコラムはこちら

島根・隠岐島で憧れの離島ナースに

汽笛で目覚める!?海に癒やされる隠岐島の休日

患者さんと一緒に「よっしゃ!」喜ぶ隠岐島の看護師

 

(寄稿協力:特定非営利活動法人ジャパンハート)

 

隠岐島は患者さんと一生のお付き合い

都会では自由に病院が選べるので、一度その病院にかかったからといって、次も同じ病院に行くとは限りません。気に入らない、合わないと思えばいくらでも病院を変えられます。看護師にも「この患者さん次も来るかわかんないし」という考えがあると思います。

 

けど、病院が島で1つだけとなると、患者さんは病院が選べません。島にいる限り、看護師と患者さんは一生のお付き合い。プライベートで顔を合わすこともあります。私も何度か、患者さんやその家族と病院の外でばったり会うことがありました。「気になったらいつでも患者さんの様子を見に行くよ」と話しているスタッフもいます。

 

病院外でも患者さんと交流

 

患者さんを守りたい!

私が隠岐島で感じたのは、患者さんとスタッフの距離が「近い」ということ。

 

病気のこと以外にも、院内での声がけから家族のことや釣りやスポーツなどの趣味の話と、何でもない話をたくさんし、患者さんからは自然と笑みがこぼれます。患者さんにとっても、同じ島民のスタッフは自分のことをよく知っている親しみやすい存在なんだと思います。患者さんとの距離の近さは、ご近所さんということだけでなく、精神的な近さなんだと思います。そしてこの近さが「この患者を守る」という、島の看護師の意識を高くするんだと思います。

 

島唯一の病院として患者さんを守る

 

看護の本質を身を持って体験

治療のために、本土への転院や緊急搬送が必要な場合があります。患者さんには高齢者が多いので「もう帰ってこられないかも」と心配する人もいます。島を離れるということは「状態が悪い」「戻れないかもしれない」と不安になったりすることなんだと知りました。

 

患者さんにとって島はただの長年住んでいる場所じゃないんです。病院も単なる島唯一の病院ではなく、どちらも心のよりどころなんだと思います。

 

島の看護師はいつも患者さんのことを考えています。何気ないように見える声がけは、患者さんの状況や気持ちをよく知っていないとできないことだと思います。

 

患者に寄り添うという看護の本質を、ここで改めて考えさせられました。患者さんと向き合うこと、気持ちに寄り添うこと、責任を持って接すること。コラムでは紹介しきれないくらい、隠岐ではこれからの看護師人生で大切にしたいことをたくさん教えてもらいました。

 

患者さんの自宅にある薬剤師さん手作りのお薬カレンダー。これで飲み忘れを防止!

 

青い海に囲まれた隠岐島は魅力たっぷり!

 

次回は、長崎県の対馬で働く“雪見”さんにお話しいただきます。お楽しみに!

 

■寄稿協力

特定非営利活動法人 ジャパンハート

 

2004年に代表の吉岡秀人医師が設立した国際医療ボランティア団体。今回紹介したへき地離島への医療研修は国際看護長期研修の一つで、ミャンマーでの医療研修も含め1年間のプログラムとなっている。ほかにもカンボジア、ラオスでの医療支援や医療者育成支援など、さまざまな支援活動を行っている。医療者が参加できる活動として、子どもや貧しい人々のために巡回診療や手術を行う、3日~7日程度の休暇で参加が可能な国際医療短期ボランティアなどがある。

 

ジャパンハート公式サイト

国際看護長期研修専用サイト

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