お母さんナースに教えてもらった愛情~対馬~|へき地・離島ナースリレーコラム【14】

へき地・離島で働く看護師リレーコラム。14回目は、長崎県の対馬で働く雪見さん。雪見さんが最後に書いてくださったのは、対馬で働くお母さんナースの働き方についてです!

 

(寄稿協力:特定非営利活動法人ジャパンハート)

 

◆雪見さんの今までのコラムはこちら

「対馬」のナースは還暦を迎えても3交代バリバリ!

離島の緊急対応はチーム力勝負~対馬~

対馬では看護部長もドクターもコメディカルも身近

 

優しいスタッフに迎えられて

私はこれまで勤務していた病院以外で働くのは初めてだったので、最初は緊張で倒れそうなくらいでした。けど、スタッフの皆さんの第一印象がとにかく温かい!優しい!で、安心して飛び込んでいけました。どうしてこんなに余裕が感じられるんだろうと不思議に思いながら、いつの間にか自然に私の心にも余裕が生まれているのでした。

 

対馬の雄大な自然が迎えてくれた

 

初回でもお話ししましたが、ここではほとんどのスタッフが、子育てと仕事を両立するお母さんナースです。しかも日本の出生率が1.4人といわれる中、こちらでは3~4人が当たり前。そんな状況で三交替勤務をこなし、夜勤明けでお子さんのイベントへの参加やお弁当作りをこなしています。それでも朝から患者さんと漫才さながらのトークで元気いっぱい、愚痴や文句をいう方は一人もいません。私にはとてもできないと思ってしまいます。

 

島の看護師さんは忙しくても宴会の余興は完璧!

 

子育てってアリかも!

私はここに来るまで、子育てに対してネガティブなイメージしか持っていませんでした。私も仕事が楽しくなってきた時期で、自分の時間が取られると思うと親になる覚悟ができず、子どもを持たないという選択肢もありだと思っていました。

 

そんな私に人生の先輩が説いてくれました。「あなたはすばらしい人。愛情をたくさん注いでもらってきたのがわかる。もらった愛情は次の世代に引き継がなきゃだめよ」。忙しいとか自由がないとか、そんな次元の話ではないということがなんとなくわかったような気がします。

 

心も晴れる対馬の夕焼け

 

もらった愛情は次の世代に

わが子を愛する気持ちは特別なもので、それを知ると自分が受けた親の愛にも気づくのでしょうか。愛情を受け継ぐという神聖さを教えられました。第一印象で感じた温かさや優しさは、その深い愛情から備わったものなのでしょう。そして先輩方はどんな大変なときでも笑顔でやり過ごせる強さも持っていて、これは何か大きなことを経験した人にしか出せない魅力だと、うらやましく思いました。

 

島の看護師たちの働き方とは、単なる子育てとの両立ではありません。特別なことではなく、自分が受けた愛情を次の世代に伝えているだけ。そう思っても目の前の大変なことを乗り切るのは簡単ではないと思います。けれど島の先輩方はどんなことでもしなやかにこなし、わが子だけでなく患者さんやまわりのスタッフに対しても愛情にあふれています。

 

対馬では、ベテラン看護師さんの知識の広さや技術に驚かされることがたくさんありました。医療に関して学ぶことはもちろん多かったですが、人に愛情を持って接するという、一番大切なことを教えてもらった気がします。

 

釣りに行けば食卓に新鮮な魚がならぶ贅沢☆

 

山梨県の牧丘で働く“Michi”さんにお話いただきます。

 

■寄稿協力

特定非営利活動法人 ジャパンハート

2004年に代表の吉岡秀人医師が設立した国際医療ボランティア団体。今回紹介したへき地離島への医療研修は国際看護長期研修の一つで、ミャンマーでの医療研修も含め1年間のプログラムとなっている。ほかにもカンボジア、ラオスでの医療支援や医療者育成支援など、さまざまな支援活動を行っている。医療者が参加できる活動として、子どもや貧しい人々のために巡回診療や手術を行う、3日~7日程度の休暇で参加が可能な国際医療短期ボランティアなどがある。

 

ジャパンハート公式サイト

国際看護長期研修専用サイト

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