おススメは〇〇!訪問看護師の職場探し事情|ぐるぐる訪問看護

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

菊間はっか

 

全国訪問看護事業協会の「平成30年訪問看護ステーション数調査結果」を見ると、全国にある訪問看護ステーションの数は1万カ所を超えています。私の住んでいる東京都だけでも1054カ所という数値です。いざ訪問看護を始めようと思っても、この中から自分に合う職場を探すのは大変そうですね。

 

例えば、経営母体も病院に併設しているところ、看護師や理学療法士(PT)が立ち上げたところ、民間大手企業がチェーン展開しているところなどさまざまですし、小さな組織なので管理者の考えやカラーがダイレクトに反映される職場だと感じています。

 

母体が大きいと福利厚生が充実している、病院併設だと退院患者さんが利用者さんとして紹介されるので経営状態が安定するなどと聞きますが、それが一概に働きやすさにつながるとはいえないようです。

 

 

初めての職場探し、私の場合

 

職場を探す女性のイラスト

 

私は訪問看護に転職しようと考えた際、まったく情報がなかったので、「東京都ナースプラザ」主催の「訪問看護師育成研修」を受講したのち、「東京都訪問看護教育ステーション事業」の無料研修制度も活用して、合計3カ所のステーションで研修を受けました。

 

いずれも看護師が立ち上げたステーション(1カ所は看護師の妻と精神保健福祉士の夫)でしたが、雰囲気はまったく違いました。

 

朝みんなで集まってミーティングをしてから訪問に出かけるところもあれば、それぞれが訪問時間に合わせてバラバラに出勤し昼休みもバラバラで自分の仕事が終わったら帰る、という個人事業主の集合体みたいなステーションもありました。週1回夕方から検討会を開催していて、白熱すると帰宅が0時近くなる!というステーションもありました。

 

精神科訪問看護を行っているステーションの男性看護師が、自殺企図のある利用者さんの自宅で一晩付き添ったという出来事もあり、「私にできるだろうか……」とちょっぴり不安になったりもしました。

 

 

晴れて就職した先は……?

そんな研修を経て、私が最初に勤めたのは地域の病院に併設しているステーションでした。退職者の補充で入職したのですが、人員基準ギリギリで運営しているところでした。加えて、利用者さんの数がとても少なく、訪問件数が1人2件しかないような日もありました。

 

積極的に営業活動を行っている管理者も多いと聞きますが、そこの管理者はあまり営業が好きではなかったようです。8時間勤務の中で訪問が2件しかないのですが、常勤換算2.5人ギリギリの日には帰るわけにもいかず、空いている時間にみんなで大掃除をしたり、倉庫の古い資料整理をしたりしていました。

 

せっかく転職してまで訪問看護を始めたのに、「こんなことでいいのか?」という思いが日に日に大きくなり、短い期間で職場を去りました。

 

次に就職したステーションが、知人の紹介で入った今の職場です。看護師がNPO法人として立ち上げたステーションで、スタッフは作業療法士(OT)・PTも含めて20人弱在籍しており、働き方はフル勤務だったり、扶養範囲内だったり人によってさまざまです。

 

それぞれの勤務時間は訪問スケジュールに合わせてバラバラなのですが、常に所長さんが事務所にいて情報を把握しているので安心できます。みんなで集まれない分、LINEグループ内で活発に意見交換がなされており、その辺りは今どきだな~と思っています。

 

看護師の中には子育て中のスタッフも多く、訪問と訪問の間に保護者会に出席するなど時間の融通が利くところは、個人経営のステーションならではのメリットだと思います。

 

以前、驚いたことは、訪問から戻ってきたらスタッフの子どもが机でお絵かきをしていたことです。どうしても預けられない事情があったようですが、その子も慣れたもので事務員さんと仲良くお利口に過ごしていました。

 

個人経営のステーションでは、節目の打ち上げなども家族みんなで参加というところが多いようです。公私混同が苦手な人には向かないと思いますが、子育てしながら無理なく働きたいという人にとっては働きやすい環境といえるのではないでしょうか。

 

 

ステーション、入ってみないとわからない?

外部研修に参加すると、さまざまなステーションの話を聞くことができます。訪問車を何度もこすってしまいついに修理代を負担することになったとか、入社時の時給は「キャンペーン価格だった」と言われ時給を下げられたとか、夜間の電話当番手当が1000円しかつかないとか、不満を抱えながら働いている看護師もとても多いです。

 

半面、「悪天候手当」という制度があり、「台風・大雨・猛暑の時には1日3000円の手当がつく」など良心的なステーションの話も聞きました。

 

私は就職する際に、ハローワークの相談窓口も利用しましたが、「訪問看護師さんは出入りが多い」とのことでした。いろいろと情報収集してから就職したつもりでも、やはり入ってみないと分からない部分がすごく大きい職場です。

 

そして、その内情は経営者の采配1つでどうにでもなるのではないか?とすら思えてしまいます。

 

自分に合ったステーションを探す際に、私には知り合いの紹介という形が合っていたようです。事前に雰囲気を知るためには、職場見学や外部研修での情報交換なども参考になりました。

 

転職を繰り返すことは、他のスタッフへ負担をかけるだけでなく、利用者さんと築いた関係が切れてしまうことになるので、これはとても残念なことです。ご縁があった利用者さんですから、できれば長く支援したいと思うのです。

 

***

 

さまざまなステーションがありますが、スタッフに熱意があることはどこにも共通していると思います。病院という組織の枠を超えて地域にエネルギーを放出し続ける訪問看護師は、個性豊かな人たちが多く、愛すべき仲間たちです。相性のよい職場で公私のバランスを取りながら末永く働くことができれば、幸せなことだと思います。

 

ここで一句。

 

俳句「如月の 空気をまとひ 会いに行く」

 


 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

Aナーシングは、医学メディアとして40年の歴史を持つ「日経メディカル」がプロデュースする看護師向け情報サイト。会員登録(無料)すると、臨床からキャリアまで、多くのニュースやコラムをご覧いただけます。Aナーシングサイトはこちら

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