医師3034人に聞いた「終末期医療でのトラブルは?」|トラブルメーカーは遠方の家族、年金狙いも

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

 

石垣恒一氏=日経メディカル

 

看取りの経験がある医師に終末期医療でのトラブルの経験を聞くと、4割が「ある」と回答。

 

その多くが、遠方の家族・親戚の来訪によるトラブルを挙げた。患者の年金を家族が当てにするケースにも4割が遭遇し、トラブルの一因となっていると推察される。

 

患者の希望をかなえ家族も納得する終末期医療の進め方を特集◎終末期医療の三原則から紹介する。

 

終末期医療で経験したトラブル

 

  • よくあるパターンだが、それまでの説明を聞いてきていない家族が突然口を挟んでくる。「こんなことは聞いていない」と言われるが、聞きに来ていないので当たり前だと思い、事務に対応してもらっている。もちろん、説明内容はカルテに常に記載している。(40代勤務医、脳神経外科)
  • 僻地の病院に勤務していたとき、90歳を超えて寝たきりの明らかな老衰の患者の臨終に際し、家族が「ドクターヘリを呼んで県立医大まで搬送しろ」と言い出して、かなりの時間、押し問答となった。ドクターヘリに年齢制限を加えてほしい。(50代開業医、呼吸器内科)
  • 「親族がそろうまで(東京から3時間!)、心臓マッサージを続けてほしかった」と言われた。(60代勤務医、一般内科)
  • 患者本人が納得の上でインスリン治療を行わず、糖尿病が濃厚に関連していると思われる疾患で急死。書面に残していたにもかかわらず、「なぜ主治医は全力で糖尿病を治療しなかったのか」と詰め寄られた。
    弁護士を交えた話し合いを何度となく行い、最後は相手方の弁護士が「裁判しても遺族側は勝てない」と諭して、事なきを得た。
    (40代開業医、糖尿病科)
  • 終末期の90歳代患者の年金を当てにして家族が家のローンを組んでいたらしく、「死なれては困る」と繰り返し抗議され、対応に苦慮した。(40代診療所勤務医、消化器内科)
  • 患者および妻と娘に説明し選択した方針が、臨終の際に来訪した遠方の息子にひっくり返される“あるある”話を経験した。
    以後、インフォームドコンセント前に他の家族の所在をしつこいくらいに確認し、来られない家族がいたら、後から口出ししないよう、電話で念押ししている。
    (40代勤務医、消化器外科)
  • 末期癌の患者で、妻や家族にきちんと説明していたが、家族内で遺産相続の争いが発生。「死因がおかしい」と、お金をもらえない家族からとばっちりのようなクレームが来た。(50代開業医、一般内科)
  • 見舞いに来た回数で遺産相続の配分が変わるという考え方を持っている遺族が多い。「見舞いに来た回数を証明してほしい」と言われたことがある。(60代開業医、循環器内科)

 

<調査概要>
日経メディカルOnline医師会員を対象に2018年2月12~18日、ウェブアンケートを実施。回答数3930人のうち、患者を看取った経験がある3034人の回答を集計した。集計対象者の内訳は、病院勤務医74.5%、診療所勤務医10.9%、開業医12.7%など。

 

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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