看護師の面接、何を見られてる?転職のプロが語る・落ちない面接必勝法|看護師の転職お悩み相談室【1】

看護師なら仕事探しに困らない―そう言われても、いざ転職しよう!としたら悩みや不安はつきものですね。
看護師さんの「どうしたら良いの?」に、プロの転職アドバイザーがお答えします。


はじめまして。江口さおりと申します。

 

看護師さんの転職をお手伝いしてそろそろ10年になります。これまでたくさんの看護師さんと一緒に、仕事での希望を叶える方法を考えたり、面接に同席したりしてきました。

 

病院側から採用の相談を受けることも多くあるので、私の経験が少しでも多くの看護師さんの転職に役立てばいいなと思い、筆を執りました。

 

看護師さんの転職相談室

さっそくですが、今回お伝えしたいのは、採用側の視点を意識した面接対策です。

 

よく看護師さんから「どうしたら面接に受かりますか?」とご相談をいただきますが、実は、面接のコツは「合格するためにどうするか?」ではなく「落ちないためにどうするか?」なんです。

 

合格するためのhow-toは色々ありますが、面接に落ちてしまう人の多くが、合格することに一生懸命になりすぎて、落ちないための対策をしてないことが多いんです。

 

では、「面接に落ちないためにはどうしたらいいの?」

その答えはたったひとつ。病院や施設の面接官があなたの何を見ているのか?を知ることが、面接合格への近道です。

 

【目次】

◆面接に落ちないために必要なたった1つのこと

 ・面接官が見るポイントは「リスク」と「あなたの本音」

 ・よくある面接失敗例から学ぶ「合格する方法」

 ・面接官の不安を払拭すれば落ちない

◆30分でできる、落ちないための面接対策

【1】なぜ看護師になったの?過去の自分を振り返る

【2】今~未来の希望を可視化する

【3】過去と未来を結びつけて志望動機にする

◆まとめ

 

◆面接に落ちないために必要なたった一つのこと

看護師が面接で落ちないためにすべきことは、実はたった一つ。

それは「面接官の不安を払拭する」ことです。とは言えそれってどういうこと?と思いますよね。詳しくご説明しましょう。

 

面接官が見るポイントは「リスク」と「あなたの本音」

どこの医療機関でも看護師不足に悩んでおり、「とにかく一人でも多くの方を採用したい!」という状況なのは事実。

ですがやっぱり、誰でもいいというわけではありません。即戦力としてある程度のスキルがあるか、看護部長の価値観に合うか・・・etc. 病院の規模や状況によって選考のポイントは様々ですが、どんな面接でも共通して見ているポイントがあります。

 

面接官である事務長や看護部長は、こんなことを考えながら面接をしています。

 

「この人ほんとに長く続けられるかしら?」

「うちのスタッフとうまくやっていけるかしら?」

「遅くまででも頑張りますって言ってるけど、ほんとに残業できるのかしら」

 

つまり、面接官は

・あなたを採用しても「リスク」がないか

・あなたが本音で話しているか

の2つを見ています。

 

リスクなんて失礼な・・・と思われるかもしれませんが、あなたの周りにもいらっしゃいませんか?うわー、なんでこの人採用しちゃったのかな、って人。

 

採用側の気持ちとしては、基本的には問題が無ければ現場の看護師さんの負荷を減らしてあげるためにどんどん採用していきたいものの、誰でもいい訳ではない、無駄な混乱を避けたいという願望があります。

 

それじゃあ「この人はリスクがない」と安心してもらうためにはどうしたらいいでしょうか?

それは、「具体的に本音で語る」ことです。

 

 

よくある面接失敗例から学ぶ「落ちない方法」

面接に失敗してしまった例をひとつご紹介しましょう。

循環器科で数年経験し、スキルアップを目指して転職活動をしていた看護師Aさん。

志望動機は「これまでの循環器科の経験を活かしてこれからも看護師として貴院でスキルアップを図りたいと考えています」と、完璧。

「プライベートと両立したい」「残業が嫌」といった本音は、印象が悪くなることを考えて言わないことにしました。

でも、面接では不採用。

…なんてこと、時々あるんです。

 

残念ながら、ボロを出さないために良いことだけ言っても受かりません。

 

その理由は、良いことだけを並べても、採用側の「すぐ辞めないかしら・・・」という思い・不安をぬぐい切れないから。言葉を選ばず言えば、「整いすぎていてうさん臭い」というのが採用側の本音。

 

面接官の正直な思いはこうです。
「そう言うけど、前の病院も循環器強いのに辞めてるのね、もしかして隠したいような何かがあるのかな、この人…」

 

面接官の不安を払拭すれば落ちない

自分の身に翻って考えてみましょう。
友達でも同僚でも綺麗ごとばっかり言っている人って、なんとなく「信用してもいいかな」と不安になりませんか?相手を人として心から信頼できるなと感じるのって、どんなときでしょうか?

 

私は、「相手の本音を感じたとき」です。採用担当者も恐らくそうです。
「あ、この人、本音で話してる、信用できる人だ」と感じられたとき、「すぐ辞めないかしら・・・」という不安は払拭されます。

 

本音で挑む。これが面接に落ちないための極意です。

だからと言って「残業したくないので貴院を選びました」はもちろんNGですよ。

 

では具体的に何を話すべきなのでしょうか。

 

◆30分でできる、受かるための面接対策

面接に本音で挑むのには、準備が必要です。

 

その準備とは、「過去の自分を振り返って書き出し、今や未来の自分と結びつける」こと。

(あの時何を感じたか?どうしてあの選択をしたか?私は何が好きなの?)

よく大学の就活生がやっている自己分析みたいな、あれですね。

 

・・・め、面倒そうです。分かります。結構面倒なんです。

 

でも、私は面接対策でこの準備作業を看護師さんと30分くらいかけて一緒にやっています。

これをやるだけで、まず面接で話せる内容が全然変わりますし、何よりも納得感を持って職場を選ぶことが出来るので、気持ちよく働ける方が多いです。

 

大変ですが自分を見つめなおすいい機会になりますので、是非、一緒にやってみてください。

 

【1】なぜ看護師になったの?過去の自分を振り返る

まず、何故看護師になったのか、なってみてどうだったか、楽しかったこと辛かったことを思い返してみてください。

まだ就業経験が浅い方は学生時代の経験、また看護師以外でもこれまで自分が夢中になれたこと、絶対嫌だと思ったこと、なんでもいいのでたくさん思い出してください。

 

具体例でご紹介しましょう。

 

循環器病棟希望の看護師さんで、「なんとなく循環器が一番楽しかったので今回も希望している」と仰っています。

 

まず過去の実体験から、感じたことを思い出します。

 

憧れで循環器病棟に入ったけど、心筋梗塞の患者さんに対して心電図が読めるようになってどこの血管が詰まっているか分かるようになって、私プロになったんだ!と思えた時が一番感動した。

逆に、そのあとに移ったリハビリ病棟では、自宅に帰すためのお世話が中心でコミュニケーションをとることは多かったけど、そこに理屈はなく、やはり人体について科学的に理解できる診療科に携わるのが好きなんだな、と思った。

 

過去の実体験を思い出すことで、「なんとなく、循環器が好き」と思っていたはずが、「なんとなくではなく確かに私は循環器が好きだ」と語れるようになりましたね。

 

過去の実体験をもとに好きな理由を話せるだけでも、ずいぶん本音っぽさが増し、これが面接官に「安心感」を与えます。(面接官の知りたかった本音の部分、ですね)

 

【2】今~未来の希望を可視化する

次に、今の自分が感じている不満・不安、これから自分がどうしたいのか、を考えてみてください。さあ、思いのたけをとにかく並べてみましょう。

 

循環器はとても楽しかった、これからも続けたい。
だけど、正直、前職の病院では結婚して子供を抱えて働く先輩が少なく、不安でやめてしまった。

これからは女性としての幸せも掴みたい。 残業や休日出勤で疲弊する毎日から抜け出して、彼との生活も充実させたい。30歳までには結婚したい。子供も欲しい。
仕事?もちろん続けたいです。仕事と家庭を両立できるママになれたら素敵かな。

 

いい感じですね。この方は、今と未来をこんな風に思い描いています。

 

・循環器で働きたい(今の希望)
・プライベートと両立したい(今と未来の希望)
・結婚して子供が欲しい、仕事も続けたい(未来の希望)

 

【3】過去と未来を結びつけて志望動機にする

最後にこの過去と未来を結びつけると、「落ちない志望動機」になります。

①循環器で働きたい

だけだと、前の病院でもいいなと思われてしまいます。

そこで、

②プライベートと両立したい

もあわせて、「循環器を学びながらワークライフバランスを大切にしたい」と伝えます。

それが応募する病院の就労条件でないと叶わないのであれば、面接官も「あ、だからうちを選んだのね」と納得します。

さらに、

③仕事を続けたいことや素敵なママになりたい夢

も語れると、その人の未来の姿が想像できますね。

 

本音で話す言葉は相手に安心感を与えます。(ただし、残業や休日出勤が嫌とか、必要以上にネガティブに映ることはあえて言わなくてもいいですよ)

 

どうですか?あなたが面接官でも、この方なら安心して採用できると思いませんか?

 

◆まとめ

本音で挑む、落ちないための面接対策、いかがでしたか?

 

この面接対策でできあがった志望動機は、ゼロから作りこんでいるわけではなく、すべては自分の中に眠っているストーリーです。これなら面接で頭が真っ白になって言えなくなるなんてことはありません。

 

あれこれ作り物の志望動機で身を固めるのはもったいない!

あなた自身の中に眠る、あなたにしかない素敵なストーリーで面接に挑むことが、合格への最短距離だと思います。

 

 


【江口さおり】

1984年生まれ。看護師専門転職アドバイザーとして、これまで延べ1,200名以上の看護師さんの転職をサポート。病院・施設からの採用の相談を受けることも多い。趣味は歌うこと。1児の母。

 

(illustration:ハラユキ)

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