保育園看護師(後編)|病院外の看護現場探訪【1】

前編

埼玉県日高市にある日高どろんこ保育園で、看護師として働く藤森康子さん(仮名・27歳)。

子どもたちの健康管理はもちろんのこと、一緒に遊んであげることも仕事のうちだといいます。

では、それ以外にはどのような業務をされているのでしょうか。

 

「保育園」という職場での、「看護師」としての関わり方

保育園看護師は、2007年に制度ができてからまだ日が浅く、「看護師を雇用してはいるが、仕事の進め方やマニュアルが定まっていない」という保育園も多くあります。そのため、保育園で働く場合、看護師は自分から積極的に園へ働きかけて、自身の仕事内容や、看護師を生かせる園の体制を作っていかねばならないケースも多いようです。

 

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | 病院外の看護現場探訪【1】保育園看護師(後編)

開放感あふれる園庭。後ろにはヤギの姿も見えます

 

藤森さんの場合、勉強会を開いたり、体制の改善を提案したりすることで、「保育園で働く看護師」としての役割を積極的に果たそうとしているそうです。

 

「毎月、私がテーマを考えて園内で勉強会をするようにしています。たとえば、6月は下痢嘔吐についての勉強会をしました。暑くなると食中毒などに気をつけなければいけませんから、事前に看護師の目線で気づいた点について、できるだけ共有を図っています。たとえば、吐いた時の消毒方法ですね。そうすることでより安全な保育ができると思います」

 

他にも、体調不良児がいた場合、保護者様がお迎えに来られるまで別室で付き添ったり、病後児保育も行っている園のため、希望者への利用方法の説明や利用時の対応も行っています。また、他のスタッフでも病後児保育の対応が行えるように資料の作成も行っています。

 

こうした藤森さんの活躍は、園としても大切にしているそうです。

 

「看護師や栄養士、調理師といった専門家が、保育に関わることで発見できることはたくさんあります。特に衛生管理や部屋の消毒方法に関しては、病院では当たり前にやっているようなことができていないというケースもあります。そういう指摘をしてくれるということが、園にとっての大きな財産といっていいですね。毎月の園長会議ではそういう意見をグループ全体で吸い上げて、採用したりしているものもあります」(社会福祉法人どろんこ会開発部スタッフ)

 

看護師の職場としてまだ新しい「保育園」では、「仕事内容が定まっていない難しさ」がある代わりに、「自分の仕事を開拓する」という創意工夫のやりがいがあるようです。

 

「子どもに慕われる」というやりがい

転職に際して、保育園という就職先を選んだ藤森さん。その選択にはどのような思いがあったのでしょうか。

 

「私には年の離れた弟や従弟がいたので、子どもの頃から小さい子の面倒をみるのが当たり前の生活をしていました。それに私の両親がともに医療関係者だったこともあり、看護師になることも当たり前のように考えていたのです。子どもは好きでしたし、看護学校でも小児科での実習が一番楽しかったので、看護師になっても子どもたちと関わっていくということが、当然だと思っていたのです。だから勤務先も小児科や産婦人科など子どもと関わることのできる病院を選んでいたのです」

 

しかし、病院で子どもに関わることは、楽しい半面つらいこともあります。それは、当たり前ですが、病院に来るには理由があるからです。病気やケガ、重い障害を抱えた子どももいます。藤森さんも子どもと接する喜びがある半面、つらそうにしている子どもたちを見ることは大変だったといいます。

 

「病院の看護師というのは子どもに嫌われる役目なのです。子どもにとって病院は痛くて、怖くて、つらいところです。注射をすれば泣かれますし、イヤなことでも無理やりさせなければいけないこともたくさんあります。子どもが好きだったので嫌われるのが当然の仕事というのはつらかったです。それに入院した子どもと仲良くなっても、病院に長くいていいことはありません。一日も早くお別れすることがいいことですから」

 

子ども好きであるがゆえのジレンマを抱えていた藤森さんは、転職の際、子どもたちとより親身に接することができる職場として、保育園という職場を選択しました。看護師を採用する保育園はまだ多くないため、近所の日高どろんこ保育園が看護師を募集しているのを見つけた時には、一も二もなく応募されたそうです。

 

「保育園の場合、病院とはまったく逆です。2、3歳になれば『先生、先生』と子どもたちの方から慕ってくれますし、いつもニコニコして一緒に遊んでくれるわけです。子ども好きの看護師さんにとってはすごく働きがいのある仕事場だと思いますし、私も楽しく仕事ができています」

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子どもたちに囲まれて働くのはとても楽しく、やりがいがあるそう

 

今の職場に働きがいを感じ、仕事を長く続けていきたいという藤森さん。看護師がいるということに安心感を持たれている保護者ためにも、しっかり務めを果たしたいと語ってくれました。

 

看護師の職場としてはまだまだ未開拓の部分が多い保育園ですが、今後ますます採用は拡大していくことでしょう。どろんこ保育園を運営するどろんこ会でも、近いうちに関東圏で少なくとも5園、それ以降も多数の認可保育園を開園していく予定だそうです。

 

病院とはちょっと違った看護師スタイル「保育園の看護師」。いかがでしたか?

ご紹介したように園によって仕事内容もさまざま。「うちの園では、他にもこんな仕事をしている!」という方がいればぜひコメントをお寄せください。

 

(取材協力:社会福祉法人どろんこ会)  

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