施設看護師の仕事は「責任が重いルーチン」なのか―役割とやりがい|知らずには働けない?施設看護のリアル

知らずには働けない?施設看護のリアル【5】

施設看護師の仕事は「責任が重いルーチン」なのか―役割とやりがい

 

高齢者施設での看護師のやりがいは何か、と、よく聞かれます。

 

施設での看護の特徴を挙げるとすれば、大きく二つだと思います。

 

一つは、「患者ではなく入居者のお世話をする」ということ。

施設形態によりますが、治療の必要のない入居者も多く、医療行為はほぼありません。

ルーチン業務が多く処置の内容が限られ、急変や予想外のこともあまり起こらず、入居者とゆったりとした時間の中で仕事をする。

高齢者施設は、患者さんとじっくり向き合いたいと考えている私にとってはまさに、理想の環境でした。

 

もう一つは、高齢者施設での看護師は、「自分で判断しなければならないことへの責任を持つ」ことが必要だということ。

医師がいない施設で、入居者の状態をアセスメントし、「どうするか」を判断しなければなりません。

そういう意味で、病院に比べると看護師一人の責任は重くなるのかもしれません。

 

とはいえ、「日常を過ごす場」である施設では、基本的には毎日同じことを繰り返します。

はじめはいいのですが、業務がこなせるようになったら、「毎日同じことの繰り返し。むなしい。」そんな感情がむくむく湧いてきます。

 

 

施設看護師が行う業務は、健康管理や介護職へのアドバイス、医療機関との連携などです。

私は、「健康管理」がメインの仕事だと思っていました。

しかし、どんなに詳細に管理しても、入居者の健康状態は「現状維持」か「だらだらと悪くなっていく」かのどちらか。そんな現実を目の当たりにすると、看護師としての役割を果たせていない気がして、施設はつまらないと思ったこともあります。

 

でも、日々の業務がこなせるようになったら、それだけで施設看護師としての役割が果たせているのかといえば、決してそうではありませんでした。

 

では施設看護師の役割とは何か?それは誰かが教えてくれるものではなく、自分で設定し、果たす目標のようなものだと考えています。

そこで自分が「どんな看護をしたいのか」をきちんと考えることが重要なのです。

 

私も、日々さまざまな入居者さんを看る中で、自分なりに果たしたいことを見つけました。見つけるまでには長い時間がかかりましたが、見つかって本当によかったと思っています。

 

私にとっての施設看護師の役割は、いろいろな事情によって自宅で暮らせなくなった入居者であっても、自分の人生はあながち悪くなかったと思える旅立ちのお手伝いをすることです。

その過程の中で、できるだけ痛いこと、苦しいこと不安なことが少なくなるように看護師として寄り添うことだと思っています。

 

もう何年もこの仕事をしていますが、この役割をちゃんと果たせているかと言ったらそうではありません。

まだまだやれていないこともありますし、やりたいこともあります。

自分なりの役割をじっくり考え実践できるのが、高齢者施設でのやりがいなのかもしれません。

 

 

【春野すみれ】看護師・介護支援専門員。総合病院で6年勤務後、介護保険開始以降施設系在宅系さまざまな事業所で老年看護に特化して携わる。現在は高齢者施設に勤務するかたわら、研修講師なども務める。

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