看護師あるある?「うちの病棟大変なのよ」自慢大会を考える

こんにちは、依里楓です。水商売を卒業して、看護師になって1年3ヶ月が経ちました。

 

同期との飲み会が苦手です。自分の病院の同期とも、他の病院に就職した友人達との集まりも、正直なかなか楽しめません。

 

看護の話が嫌いなわけじゃないのにどうしてだろう、と考えてみてたどり着いた結論は、私は「うちの病棟大変なのよ」自慢大会に疲れてしまうのだということ。今回はそんな、看護師が集まると必ず起こる、「私こんなに頑張ったの!」の追いかけ合いについて考えていこうと思います。

 

元キャバ嬢ナースのとある視点

Vol.10 看護師あるある?「大変」自慢と私達のプライド

 

「誰か褒めて!」って言ってしまいたい

この前の夜勤、「なんか意識レベル低下してるわけじゃないんだけどなんか、なんか変」と思った患者さんが案の定血圧低下しており、「当直医と主治医呼んでくださいー!!」とそのまま急変しました。

日勤さんに送った後先輩に「眠いのかな?って見逃しそうなものなのによく気付けたよ。ちゃんと看てる証拠だよ」と言われ、緊張の糸が切れたのと押し込めていた恐怖感が爆発してナースステーションで号泣しました。先生方や先輩方のいる中とても恥ずかしい経験でしたが、ああこういう言葉が欲しかったのか私は、と思うと同時に、大変なことを受け止めてくれる人がいたから「ついてない日」ではなく「大変だったけれど頑張って良かった日」になったように感じます。

 

いつ何が起きるか分からない現場で看護師は大変さを自分では調節できません。やらなきゃいけないことが自分のキャパシティを超え続ける上に、「キャパ越えです」と投げ出してしまったら人が亡くなるかもしれないプレッシャーとストレスは半端じゃないのだから、やっぱり誰かに褒めて欲しいし、「頑張ったね」って言ってほしい。それは人として当然の感情の筈です。

 

でも看護師の世界では、「みんな同じ状況だから」「私だって大変なんだから」と個々の切実な承認欲求は満たされなくて、だんだんと積み重なった空虚感は、看護師を他人の感情にも自分の感情にも鈍感な職業人にしてしまうように思います。看護師同士での飲み会での「昨日超大変だったの!」「いやいや私なんてもっと!」の追いかけ合いは、同じ境遇に置かれた者同士の、プレッシャーへのせめてもの抵抗ではないかな、と。

 

看護師と一般会社員、武勇伝の違いとは

もちろん看護師に限らず、大変な経験をした時というのは誰だって他人に話したくなるものです。キャバクラに勤務していた時のおじさま方の自慢話は当然のこと、今も一般企業に勤める友人達からは「寝てない」だの「会社から帰れない」だの、大変話をうんざりするくらいよく聞きます。

 

一方看護師は、なかなか医療職者以外の人に仕事のことを話し辛いというのが実情ではないでしょうか。

 

そもそも看護師が仕事について話す時には確実に患者さんの個人情報に触れてしまうという面で、他人に向けて話さないことは義務です。とはいえずっと自分の中に閉じ込めているにはストレスが溜まっていくし…となるとお互いのことを分かっている看護師になら話しても大丈夫だという安心感は大きいものです。

 

そして何より、看護師の仕事は人の命に関わる、ある意味とてもわかりやすい大変さを持つ仕事だからこそ、看護師の「大変」エピソードは、現場に慣れない人が聞くにはあまりに重い。

「昨日の夜勤2人も亡くなって」「急変して挿管したんだけど結局ダメだったんだよねー」なんて、聞いているだけで気持ちが暗くなってしまいそうです。

そういった大変さを一般職の人に積極的に話すことで「私達は高尚な仕事をしているのよ!」と自己肯定感を保ちたがる看護師が一部居ることも事実ですが、常識的な気遣いができる看護師であればなかなか外の人に向けて話さないものでしょう。

 

 

毎日のように新人に「私が1年目の時なんて」と言い続けている10年目さんも、患者さんを小馬鹿にしたような口調で申し送りをする20年目さんも同じような満たされなさを感じているのではないか。

 

そう思うと、患者さんや御家族の病院での個別性を大事にするように、看護師自身が自身の経験を職業的なもの以上に個人的なものとしても大事にできるようにできる良い方法があればきっと看護師の世界がもう少し優しいものになるのにと、2年目のクセに何とも大層なことをついうっかり考えてしまいますが、とりあえず今は申し送りの下手さをどうにかすることが1番の課題です。

 

【著者】依里楓

東京から2時間くらいの場所にある総合病院の内科系病棟で働く看護師。水商売をしていました。

ブログ:プロセスレコード

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