訪問看護ステーションからあなたにもお声がかかる!?|2016診療報酬改定【4】

診療報酬改定って、看護師にはカンケイないと思っていませんか?

「実は現場に直結していますよ~」という部分をわかりやすく解説します。

 

診療報酬改定はナースにどう影響するか【4】

訪問看護ステーションからあなたにもお声がかかる!?

 

訪問看護にどんなイメージをもっていますか?

「やりがいがあるけどキツい」「休めない」「お給料が安そう」…、などのイメージをもっている病院ナースは多いのではないかなと思います。

現状では従事する人数が少ない(看護師全体の2%)ことが、このイメージが定着した要因の1つなのではないでしょうか。

 

しかし、2016年4月1日に行われた診療報酬改定では、訪問看護ステーションを大規模化し、訪問看護をするナースを増やすことを目的として、変更が行われました。

 

【診療報酬改定によるナースへの影響】

◆訪問看護ステーションからお声がかかるかも…!?

 

詳しくみていきましょう!

 

 

 

【影響】訪問看護ステーションからお声がかかるかも…!?

 

「機能強化型訪問看護ステーション」を知っていますか?

ひとことで言うとふつうの訪問看護ステーションと比較して、人数が多い事業所です。

 

また、「機能強化型訪問看護ステーション」になれば収入が増えるため、全体の36.3%ステーションが機能強化型を希望しています。

 

今回の改定では、この「機能強化型訪問看護ステーション」を届け出る要件が緩和されました。

そこで、「機能強化型」を届け出たい訪問看護ステーションでは、看護師の人数確保が責務となり、あなたにもお声がかかるかもしれません!

 

 

【改定内容】「看取り要件」が緩和された!

「機能強化型訪問看護ステーション」を届け出るための要件は下の表のように改定されました。

年間で看取りを行った件数(「ハ」項目)に、病院と連携して看取った患者さんも加えて良いことになり、基準をクリアしやすくなっています。

 

※機能強化型は、看護師人数7人以上の「1」と、5人以上の「2」の2種類があり、今回は「1」の改定文を紹介しますが、「2」も「1」と同じ方向で看取り要件が緩和されています。

 

◆機能強化型訪問看護管理療養費1

現 行

改定後

(4月1日から)

[施設基準]

[施設基準]

イ 常勤看護職員7人以上

イ 常勤看護職員7人以上

ロ 24時間対応体制加算を届け出ていること    

ロ 24時間対応体制加算を届け出ていること

ハ 訪問看護ターミナルケア療養費

またはターミナルケア加算

の算定数が年に20回以上

 

 

 

 

 

 

 

ハ 訪問看護ターミナルケア療養費

またはターミナルケア加算

にプラスして、


在宅で死亡した利用者のうち、当該訪問看護ステーションと共同で訪問看護を行った保険医療機関において、「在宅がん医療総合診療料を算定していた利用者数」の3つを

「ターミナルケア件数」とする。
 

ターミナルケア件数の合計が年に20以上


 

「機能強化型訪問看護ステーションの要件見直し」(PDF)より作成

 

 

【解説1】「訪問看護ターミナルケア療養費」「ターミナルケア加算」とは

患者さんが亡くなった日および死亡日前14日以内の計15日間に2回以上訪問し、ターミナルケアを行った場合に算定できる加算です。

 

しかし、この要件は訪問看護ステーションにとっては厳しく、「機能強化型」を算定したくてもできない理由として、約4割のステーションが「看取りの件数が少ない」(訪問看護ターミナルケア療養費・ターミナルケア加算を算定できない)ことを挙げています。

 

 

【解説2】これまでは病院と共同してケアを行った患者さんはカウントできなかった!

これまで、医療機関と訪問看護ステーションが共同してターミナルケアを実施している場合、すべて医療機関側で一括して報酬を算定していました(訪問看護ステーションには収入が入らない仕組み)。

 

しかし今回の改定で、「在宅がん医療総合診療料」を算定している患者については、訪問看護ステーション側でも「ターミナルケアの件数」にカウントできるようになりました。

 

そのため、一番のネックであった「看取りの件数」を算定しやすくなり、もともと届出を希望していた3割のステーションが、届出に向けて動き出す可能性があります。

 

 

【おわりに】

機能強化型は、看護師人数7人以上、もしくは最低でも5人以上でないと算定ができません。

訪問看護ステーションが届出に向けて動き出した場合、ナースの増員が急務になります。

 

また、日本看護協会による「訪問看護アクションプラン」では、高齢多死社会に向けて、在宅死を約30%程度まで引き上げるとすると、訪問看護師は約15万人必要になる と試算を出しています(医療機関で訪問看護に従事するナースも含む)。

 

15万人という数字は、ナースの約8人に1人が訪問看護師という割合です。

現在は50人に1人が訪問看護師ですから、相当な割合が訪問看護に従事するという試算になります。

 

 

今回の改定で、訪問看護ステーションは大規模化の方向で舵が切られました。

あなたにも訪問看護ステーションからお声がかかる日が近いかもしれません。

 

 

(参考)

平成28年2月10日 中央社会保険医療協議会が厚生労働大臣に対して答申(厚生労働省)

平成26年度診療報酬改定について(厚生労働省)

機能強化型訪問看護ステーションの実態と訪問看護の実施状況調査(PDF)(厚生労働省)

 

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