末梢静脈カテ、1週間以上の留置はNG|院内感染対策の新常識

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末梢静脈留置カテーテル(PVC)は留置期間が長いほど、カテーテル由来血流感染(CRBSI)や静脈炎の発生率が高まることが知られている。だが、病院の方針や患者の状態によって実際の留置期間は様々。繰り返し穿刺して留置期間が1~2カ月というケースも少なくない。

(満武里奈=日経メディカル)

 

旧常識:末梢静脈カテを頻回に入れ替え 新常識:一週間超の留置は中心静脈カテを考慮

 

輸液カテーテル管理の最適なあり方を多職種で議論する団体「日本VADコンソーシアム(JVADC)」が2016年1月に公表した「輸液カテーテル管理の実践基準」は、PVCによるトータルの治療期間の目安として「1週間」という期間を打ち出した。

 

また、中心静脈からの輸液治療で末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)を第一選択として明記したことも特徴だ。さらには実践しやすいよう、投与薬剤の侵襲性評価と輸液治療期間に基づいてカテーテルを選択するアルゴリズムも示した(図)。 

 

図 デバイス選択のアルゴリズム(日本VADコンソーシアム「輸液カテーテル管理の実践基準」より)

デバイス選択のアルゴリズム(日本VADコンソーシアム「輸液カテーテル管理の実践基準」より)

 

PVC留置は1週間が目安

ガイドライン作成に携わったメンバーの1人である日本静脈経腸栄養学会理事長の東口高志氏は、「1週間という治療期間を超えるようであれば、PVCではなく、PICCを含めた中心静脈カテーテルを検討してもよいという考えを示した」と説明する。

 

これまでは、1週間以上の長期間の留置が想定される患者には、鎖骨下静脈や内頸静脈からカテーテルを挿入する従来型の中心静脈カテーテル(CVC)が一般的に選択されてきたが、「エコーガイド下で挿入しようとしても心臓や肺を誤穿刺するなどの合併症リスクがあり、CVC留置を躊躇してしまう医療者もいた」(東口氏)。

 

だが、2010年に保険償還されたPICCは、同じ中心静脈カテーテルであっても末梢静脈から挿入するため、穿刺時の重篤な合併症のリスクが低く、安全に中心静脈に留置できるという特徴を持つ。さらに、CVC群と比べ、PICC群ではカテーテル関連血流感染のリスクが低減することも報告されている(表)。

「今までは重篤な合併症のリスクを恐れて、CVC留置を躊躇していた医療者も、新しい選択肢が登場したことでリスクを恐れる必要がなくなった。カテーテル管理の正しいあり方を検討する機会がやって来た」と東口氏は語る。 

 

表  8施設におけるカテーテル由来血流感染率とPICC留置のイメージ(イラスト提供:メディコン)

8施設におけるカテーテル由来血流感染率とPICC留置のイメージ(イラスト提供:メディコン)

 

JVADC代表の宮坂勝之氏(聖路加国際大学大学院周麻酔期看護学特任教授)は、「PVCは領域を問わず、毎日のように医療従事者が使用しているが、まとまったガイドラインがないことが気に掛かっていた。患者さんへの侵襲を最小限にしようという考えから推奨項目を示した」と話している。

 

<掲載元>

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