患者さんに「イラッ」とするのはダメな看護師なんでしょうか

こんにちは、依里楓です。水商売を卒業して、看護師になって10ヶ月が経ちます。

 

先日の夜勤帰り、「夜勤は受け持ち人数多いからひとりの患者さんと全然話せないよね、薬とか飲んでくれないとイライラしちゃう、良くないの分かってるんだけど」と3年目の先輩が話していました。

いつも穏やかな先輩の言葉に驚く一方で、患者様に苛立ちを覚えることがあるのは私だけではないのだとどこか安心したのも正直なところ。

 

今回はそんな、患者様へのマイナスな気持ちについて書かせていただければと思います。

 

元キャバ嬢ナースのとある視点

Vol.6 患者さんに「イラッ」とした時どうしたらいい?

 

嫌な気持ちを抑え込んでみたりこっそり泣いてみたりな毎日

例えば具合の悪くなった患者様の対応に追われている時に他の患者様からのナースコールが鳴って訪室したら「アイスノン替えて」だった時とか、

超忙しい朝なのに食事介助の患者様のお食事のペースがあまりに遅いとか、

毎日30分以上も治療に関して同じ質問をし続けてくる患者様と御家族とか。

 

勿論アイスノンがあると寝つきの良くなる気持ちは分かるし急いで食事させて誤嚥したらダメだし治療の不安はいつまでもあるものだというのもよくよく分かるのですが、

イラッとしてしまう瞬間が少なからずあることもまた正直な気持ちです。

 

先日、受け持ち患者様の主治医が「良くなるって言ってたのに全然良くならないじゃない。信じた私が馬鹿だった」という発言から始まる、患者様からの罵倒としか思えないひどい言葉をカルテに記録していました。

思わずナースステーションで声をかけた私に先生は「病気の苦しさや不安が医療者への攻撃という形で出てくることはよくあることだから、全然良いんだよ」とお話ししてくださいましたが、私は、自分が同じようなことを患者様に言われた時に「良いんだ」なんてとても思えなくて、悲しくて悔しくてこっそりと泣くしかありませんでした。

 

誰も悪くないから辛いのだ

自分の、マイナスな気持ちをどうやり過ごせば良いのか分からないのです。

 

患者様のナースコールのタイミングの悪さや食事のペースに「くっ」となるのは決して患者様のせいではありませんし、

患者様が攻撃的な言葉を投げてくるのだって、病に苦しむ患者様が生活の場である病室でいつもニコニコしていられるわけがないことも理解しています。

にも関わらず、嫌な感情は自然と湧き上がってしまって、そのすぐ後にはそんな自分に対しての嫌悪感が膨らんでどうしようもなくなってしまう。

 

例えば、おそらく誰でも1度は経験するであろう、先輩からのありがたいけれどすさまじく的外れなお説教であれば、表情の上では申し訳なさそうにしながらも心の中では「うるさいなあ状況見てから話してくれます?」くらいのことは平気で考えているし、そんな自分への罪悪感も特に持たないものですが、相手が患者様となると、途端に自分が器の狭い嫌な人間になったような気持ちになるのです。どうしたものでしょうか。

 

困った時の論文探し…というわけで国会図書館に引きこもってみたのだけれど、「患者への陰性感情が起きる場合があることを看護師自身が認識する」といった内容しか出てこなくって、いまいち解決に至らず。

 

経験を重ねれば、患者様に寄り添いながらも適度な距離を取る技術が身に着くのだろうかと思う部分はあるけれど、患者様のことを小馬鹿にするような、「まあプシだから」と諦めるようなことをおっしゃる先輩もいるし、私はそういった距離の置き方を受け容れられません。

 

それでも「嬉しい」をなくさないように

「人の嫌な部分に触れるからこそ患者さんから感謝された時のやりがいが大きいんじゃないの?」

 

医療とは全く違う仕事をしている知り合いが言っていた言葉です。

確かに関わりに悩んだ患者様とのコミュニケーションがうまくいったときは嬉しい。が、だからといって嫌な気持ちを持った時の対処法を持たないことは危ういと思うし、やり過ごし方を考えることのない「ただひたすら耐える」では気付かないうちに歪んでしまうでしょう。

 

学校でも教えてくれなくて、論文にも見つからないということは、多くの看護師にとって答えの見つかっていない課題なのかもしれません。各自で何とかしてください、と放置され続けている感情なのかもしれません。

 

明日も嫌なことだらけかもしれないけれど、小さな嬉しさや感動が黒い気持ちに押しつぶされないよう、感性を鋭くしながら看護の仕事に臨んでいきたいと思う、春の香り交じりの帰り道でした。

 

【著者】依里楓

東京から2時間くらいの場所にある総合病院の内科系病棟で働く看護師。水商売をしていました。

ブログ:プロセスレコード

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