軽症者から時間外料金を徴収―救急センターの患者抑制に効果はあるのか

9月9日は救急の日です。

 

石巻赤十字病院(宮城県)が、休日夜間に救命救急センターを受診する軽症者から、時間外料金(2700円)を徴収すると発表したことが話題になっています。こうした時間外料金を導入する病院は、まだ全体からすると1割以下ですが、軽症患者の受診を抑制するには効果を上げています。

 

<石巻赤十字病院>軽症患者に時間外料金(河北新報)

 

石巻日赤では東日本大震災後、救命救急センターの受診者数が増加し、2014年度は2万8000人。09年度の実に1.4倍だそうです。一方で、受診者のうち入院が必要な重症者は5分の1程度で、軽症者の受診増によって、本当に救急医療が必要な人が受けられなくなることが危惧されています。

 

こうした背景を受けて、10月から軽症患者に対して時間外料金を請求することを決めました。重症患者や紹介状を持っている患者は対象外です。また市の夜間急患センターの小児科が閉鎖するため、中学生以下の児童も対象外です。

 

時間外料金の設定、3次救急では13.6%

そもそも入院治療を要しない軽症患者に対する時間外料金の徴収は、「時間外選定療養費」として診療報酬とは別途、請求することが厚生労働省によって認められています。2006年の告示によって正式に認められ、各病院があらかじめ届けることによって、徴収条件や金額を自由に定めることができます。

 

宮城県ではこうした追加料金の徴収は初めてとのことですが、全国で見ると少しずつ増えてきています。

 

厚労省の調べによれば、 軽症者を対象に「時間外選定療養費」を導入しているのは、全体では7.8%。3次救急病院で多くなっていて13.6%、2次救急では6・2%にとどまっています(2012年調査 救急医療機関597施設が回答)。

 

(出展)厚生労働省 平成 24 年度診療報酬改定結果検証に係る特別調査

 

「5000円~10000円未満」が最多

徴収する時間外料金の内訳は、「5000円~10000円未満」(27.5%)がもっとも多く、次に多いのが「1000円未満」「3000円~4000円未満」(17.5%)、「2000円~3000円未満」(12.5%)となっています。なかには「10000円以上」という回答もありました。全体の平均額は、3676.6円です。

 

増え続ける救急受診に何とか止めをかけようと、時間外料金の導入を決めた石巻日赤。こうした料金を導入しているのは全体から見ればまだまだ少数派ですが、告示が出された06年前以降、徐々に増えつつあります。

 

患者抑制に明らかな効果

時間外料金を導入した多くの病院では、休日・夜間帯における救急患者数の増加を抑えることに成功しています。また、この制度が浸透していくことによって、次第に徴収割合が減っていった、つまり軽症患者の受診が減っていったという事例も多く見られています。

 

一方で、時間外料金を設定することで、それまで徴収することができた深夜時間帯の診療報酬上の加算が算定できないため、病院経営上はむしろマイナスとなることも少ないないそうです。

それでも導入に踏み切らざるを得なかったのは、救急医療の現場がそこまで限界にきているということかもしれません。

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