医療事故調査って何するの?|全日病が医療事故調の指針公表

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全日本病院協会はこのたび、今年10月に開始する医療事故調査制度の指針を公表した。同指針は27ページでまとめられており、全日本病院協会のホームページからダウンロード可能だ。

(満武里奈=日経メディカル)

 

今年10月に運用が始まる医療事故調査制度は、5月に省令・通知が発出されていた。だが、具体的な院内調査手法などは示されておらず、病院団体などが示すガイドラインやマニュアルに委ねられていた。

 

西澤氏は7月下旬に開催した医療事故調査制度の初の研修会で、医療事故調査制度に関するガイドラインを作成中であることを明かしていた(関連記事)。

「会員から制度の全体像と医療機関が行うべき対応について簡明な指針を作ってほしいという要望があったため作成した」と西澤氏は語っている。

 

同指針は、医療事故調査に関する検討の経緯、医療事故調査制度の概要、重要用語の定義と解説、医療事故調査の実施概要、事情聴取、原因分析、対策立案・改善・評価、診療記録の整備、事故報告書の作成、遺族への対応、当事者の職員への対応――などの項目に分けて考え方を示している。

 

院内事故調査は3~5回実施を推奨

「医療事故調査の実施概要」の項目では、時系列で行うべきことをまとめている。

 

例えば、事故発生直後の対応としては、

  1. (1)救命あるいは健康障害の拡大防止のための治療や処置
  2. (2)必要に応じて支援要請
  3. (3)病棟師長あるいは管理当直師長、医長あるいは当直医に報告
  4. (4)使用済み医薬品・医療材料、医療機器等の現状保存あるいは回収
  5. (5)適時の診療記録の記載
  6. (6)医療安全管理者、病院長等に報告
  7. (7)患者、家族に連絡・説明
  8. (8)警察署への届出について病院長の判断を仰ぐ

――を挙げている。

 

また、事故発生後24時間以内の対応としては、

まず医療安全管理者が

  1. (1)状況把握
  2. (2)関係者に事情聴取
  3. (3)時計の誤差を確認
  4. (4)使用した物品等の回収と保管
  5. (5)病院長に報告

――を行うほか、

 

病院長は

  1. (1)緊急対策会議の開催を指示
  2. (2)緊急対策会議の示した行動計画を承認
  3. (3)院内事故調査委員会の設置の判断

――を行う。

 

 

院内事故調査委員会については

  1. (1)初回は事故発生から1週間以内に行う
  2. (2)月1~2回の頻度で3~5回開催する
  3. (3)半年以内に報告書をまとめることが望ましい
  4. (4)院外委員を含める場合、1回目の会合は事故発生から1カ月以内に開催することが多い

――と説明している。

 

「事情聴取」については、

  • ・目的は事実確認と原因究明であり、責任追及ではないこと
  • ・事実確認した後に原因究明を行わないと責任追及と受け取られかねないこと
  • ・事故発生から24時間以内に実施すること

――などをアドバイスしている。

 

事情聴取では目的により聴取項目が変わることも解説。

事実確認が目的の場合は、いつ、誰が、何を、どこで、どのようにしたかなどについて業務工程表、業務フロー図、または手順に沿って聞き、時系列で記述する。

一方、原因究明が目的の場合、事実確認や状況確認をし、出来事の流れ図を作成。問題と思われる出来事、行為の一つひとつについてなぜ行ったのかを確認する。この際にはヒューマンエラーで終わりにせず、要因や原因をさらに聴取する。

原因分析の手法としてはRCA(根本原因分析)を推奨した。

 

医療事故報告書を作成する際の注意点としては、

  • ・時系列で記載すること
  • ・個人情報保護に配慮して匿名化すること
  • ・意見が分かれた場合は両論併記すること
  • ・報告書が医療裁判や警察の捜査などの法的措置につながる可能性があること

――などを指摘している。

 

医療事故調査制度は、病院、診療所または助産所で「予期せぬ死亡事故」が発生した場合に、民間の第三者機関に報告し、事故の原因究明と再発防止を目的とした院内調査を実施することを義務づける法律。2014年6月に医療事故調査制度を盛り込んだ改正医療法が成立しており、今年10月に施行されることが決定している。

 

 

■関連サイト(全日本病院協会)

医療事故調査制度に係る指針(PDFファイル)

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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