がん放射線療法看護認定看護師になるには?役割や仕事、試験内容も解説

看護師が取りたい資格図鑑「がん放射線療法看護認定看護師」の記事のMV

 

がん放射線療法看護認定看護師は、がん放射線療法の看護を行うスペシャリストであることを証明する資格です。

 

この記事では、がん放射線療法看護認定看護師の役割なるまでの流れ勉強内容取得にかかる費用仕事内容などを分かりやすく解説します。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師とは?

がん放射線療法看護認定看護師は、放射線治療を受けるがん患者さんにより専門的なケアを提供するための認定看護師資格です。

 

患者さんが放射線治療の内容に納得し、治療を安心・安全に進められるように支援します。がん放射線療法看護認定看護師は、2023年12月時点で399名います。

 

放射線治療について説明やケアを行う中で、

 

自分に知識や技術があれば、患者さんの苦痛や不安をもっと解消できるのに

 

など、患者さんのために専門知識をしっかり身に付けたいと考える看護師さんが資格に挑戦しています。

 

認定看護師について詳しくはこちらの記事でも確認できます。

 

 

 

がん放射線療法看護認定看護師の役割

がん放射線療法看護認定看護師の役割は、がんや放射線治療への不安を抱える患者さんを精神的にケアしながら、安全に、そして適切に治療を進めていくことです。

 

患者さんは、がんになったことへのショックや、放射線治療の副作用に対する不安などを抱えていることが多いため、その状況を理解して適切に助言したり、前向きに治療をやり遂げてもらえるように精神的にサポートしたりする役割が求められています。

 

また、後輩や部下の看護師に指導や相談を行い、がん放射線療法看護の質を上げることも大切な役目です。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師の仕事内容

がん放射線療法看護認定看護師の主な仕事内容として、以下のような業務が多くなっています。

 

  • 医師の診察後の患者さんのフォローなど、治療方針決定のサポート
  • 治療前のオリエンテーションや病室の準備
  • 副作用を防ぐためのセルフケア指導精神的サポート
  • 治療に関わる多職種との連携
  • 他の看護師への指導・相談対応
  • がんや放射線療法看護に関する研修や勉強会の企画・運営

 

例えば、放射線治療を受けるか迷っている患者さんの「よく分からない」「なんとなく怖い」という不安を受け止め、治療の流れや副作用について分かりやすく説明しながら一緒に考えていきます。

 

このように、ケアの根拠となる専門的な知識と技術を生かして、患者さんの治療前から後にわたり、確実に治療を進めるための看護や心理的なサポートを行うのが主な仕事です。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師になるには?

がん放射線療法看護認定看護師の資格は、どのような流れで取れるのでしょうか。ここでは、資格取得までの流れや学校、学習内容を見ていきます。

 

がん放射線療法看護認定看護師になるまでの流れ

がん放射線療法看護認定看護師には、次のような流れでなります。

 

がん放射線療法看護認定看護師になるまでの流れ 1 実務経験を満たす  看護師として5年(がん放射線療法分野の看護を3年)  2 教育機関で学習  カリキュラム(約790時間)を修了  3 認定審査(筆記試験)  マークシート方式、100分  4 資格登録  5年ごとに更新

参考: 日本看護協会「認定看護師になるには」

 

がん放射線療法看護認定看護師の受験に求められる実務経験

がん放射線療法看護認定看護師を養成する教育機関に入学するためには、次のような経験や勤務実績が必要です。

 

  • 看護師として5年以上の実務経験
  • そのうち、3年以上、がん放射線療法を受けている患者さんが多い病棟などでの看護実績がある
  • がん放射線療法を受けている患者さんの看護を、5例以上担当している
  • 現在も、がん放射線療法を受けている患者さんが多い病棟・外来で働いている

参考:日本看護協会「特定看護分野の実務研修内容の基準

 

実務経験は、常勤であっても育児休業の期間などは含まれないため注意が必要です。

 

自身の実務経験が足りているかどうかなどが気になる方は、指定された教育機関(後述)に問い合わせてみましょう。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師になるための学校と学習内容

がん放射線療法看護認定看護師になるには、定められた教育機関(学校)で学習する必要があります。

 

2024年4月現在、対象となる教育機関は全国で2カ所あり、それぞれの定員は10名でした。

 

▼がん放射線療法看護のカリキュラムが受けられる学校

  • 静岡県:静岡県立静岡がんセンター認定看護師教育課程
  • 福岡県:久留米大学認定看護師教育センター

出典:日本看護協会「認定看護師教育機関別の開講状況・定員数一覧(特定行為研修を組み込んでいる教育機関:B課程認定看護師教育機関)

 

学校での学習内容は、「共通科目」「専門科目」「演習・実習」に分かれています。

 

共通科目で学ぶのは、臨床病態生理学フィジカルアセスメント医療安全学チーム医療論などについてです。

 

専門科目では、「がん放射線療法の治療計画における看護」「がん放射線療法を受ける患者・家族の包括的アセスメントと看護支援」「がん放射線療法に伴う有害事象マネジメントとセルフケア支援」などを学びます。

 

演習・実習では、少人数に分かれて臨地実習などを行いながら、知識や技術を身に付けていきます。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師の筆記試験の内容と難易度

がん放射線療法看護認定看護師の認定審査の試験は、年に1回、以下のように行われています。

 

認定看護師の認定試験の試験の内容

参考:日本看護協会「2024年 第32回認定看護師認定審査実施概要」

 

がん放射線療法看護認定看護師の試験の難易度は低くありません。合格率についての公式発表はありませんが、学校で792時間以上学ぶことから、相当な学習が必要です。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師になるためにかかる時間と費用

がん放射線療法看護認定看護師の資格を取るには、次のような時間と費用がかかります。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師になるまでの期間

学校に入学してから合格するまでには、1年8カ月ほどかかります。大まかなスケジュールを見てみましょう。

 

合格までのスケジュール例

  • 4月~翌年3月までの1年 教育機関での学習
  • 10月 認定審査
  • 12月 認定審査の合格発表、認定看護師認定証交付・登録

参考:静岡県立静岡がんセンター「2025年度認定看護師教育課程(B課程)募集要項 」

 

少なくとも教育機関に通っている間の1年間は、仕事と両立するのが難しくなることから、一時的に退職や休職が必要なケースもあります

 

勤務先によっては、認定看護師の取得のために積極的に休職を受け入れてくれたり、勤務扱いにしてくれたりする場合もあるため、確認してみましょう。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師になるための費用

がん放射線療法看護認定看護師になるまでには、教育機関の入学金と授業料、認定審査を受けるための検定料などで120万円程度かかります。

 

資格取得にかかる費用例

項目 金額
入学試験の受験料 5万円
入学金 5万円
授業料 100万円
認定審査料 5万円
認定料 5万円

 

この他にも、数万円の教材費がかかります。学校が遠方にある場合は、引っ越し費用や通学の交通費も必要になるでしょう。

 

また、教育機関によって受講料は異なるため、通う予定の学校についてあらかじめ確認しておきましょう。

 

費用を全て自分で負担するのが難しいときは、日本看護協会の「認定看護師教育課程奨学金」などを使うことも一つの方法です。詳しくは、日本看護協会のホームページをご覧ください。

 

 

がん放射線療法看護認定看護師になるメリット

がん放射線療法看護認定看護師になると、次のようなメリットがあります。

 

がん放射線療法看護認定看護師になるためのメリットを解説した図版。1)スキルアップにつながる、2)チームのがん看護のレベルアップに貢献できる

 

1スキルアップにつながる

がん放射線療法看護認定看護師になると、患者さんにケアを行うための知識や技術を高めることができます

 

患者さんの中には、放射線療法についてイメージをつかめず、「放射線」という言葉から「危険だ」と誤解や、皮膚トラブルなどの副作用の不安、治療を受けながらの日常生活への不安を感じている人もいます。

 

このような患者さんの疑問や不安を取り除くには、がんや放射線療法、副作用に関する正しい知識が必要です。

 

がん放射線療法看護認定看護師になり、看護のスキルアップを図ってこのような患者さんに寄り添い、適切な助言ができるようになるでしょう。 

 

 

2チームのがん看護のレベルアップに貢献できる

がん放射線療法看護認定看護師は、後輩看護師の育成などを通して、病院内のスタッフのがん看護に対する知識や技術のレベルアップに貢献できます。

 

例えば、がん放射線療法看護認定看護師の専門性を生かして、他の看護師から患者さんのケアについて相談に乗りやすくなります。

 

また、放射線治療に関する病院内外の勉強会の講師として、情報発信や助言、指導を行ったりして、チームだけでなく院内全体の知識の底上げに貢献できます。

 

また「がん診療連携拠点病院」など、専門知識を持つ看護師が特に求められる病院では、がん看護の発展により貢献できるでしょう。

 

 

まとめ

がん放射線療法看護認定看護師になると、放射線治療で重要になる知識や技術がしっかりと身に付き、患者さんに質の高い看護を行うことができます。

 

がん放射線療法看護は、不安を抱える患者さんに寄り添いながら治療を進めるための専門性が求められる分野です。

 

患者さんと関わるなかでよりよいケアを目指したいと思った人や、スキルアップを考えている人は、資格を取ることを考えてみてはいかがでしょうか。

 

執筆:看護roo!編集部

 

 

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