最終更新日 2018/07/23

天然痘

天然痘とは・・・

天然痘(てんねんとう、variola)とは、痘瘡とも呼ばれ、天然痘ウイルス(smallpox virus)による致死率の高い感染症である。

 

天然痘ウイルスの宿主はヒトのみであり、飛沫感染によって上気道感染する。約1~2週間の潜伏期を経た後に、発熱、頭痛が起こる。いったん解熱傾向となった後に、皮膚に水泡や膿疱を形成し、出血熱様になることもある。
ジェンナーにより天然痘に対するワクチンである種痘が開発された後、1967年から始められたWHOの「天然痘根絶計画」は10年して実を結ぶこととなった。1977年10月のソマリアの最後の患者の後、2年間根絶確認のためのサーベイランス期間(調査監視期間)をおき、1980年にWHOから根絶宣言が出された。天然痘を根絶できた要因として、視診で感染を判別可能であったこと、感染がヒトに限られていたこと、優れたワクチンが存在したことが挙げられる。

 

天然痘は1類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る必要がある。現在多くの人が天然痘に対する免疫を保有しておらず、天然痘ウイルスが生物兵器としてテロに使用されることが懸念されている。

執筆: 佐々木 朗

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター小児救急フェロー

SNSシェア

用語辞典トップへ