化膿性脊椎炎とは・・・
化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)とは、細菌が血流に乗って脊椎に感染する疾患である。感染源として、肺炎や尿路感染など他の臓器に感染がある場合のほか、中心静脈カテーテル等による医原性のケースもある。
感染はまず椎体の辺縁の椎体終板に起こり、膿瘍を形成して椎間板へ波及、その後対側の椎体へ進展し椎体の骨髄炎を引き起こす。胸腰椎に多く、頚椎はまれである。重症になると脊椎周囲の筋肉や脊柱管内に膿瘍が拡がり、麻痺をきたす場合があるほか、頚椎の場合は気管や食道を圧排するため危険である。高齢者、糖尿病、癌や血液疾患の既往など、免疫機能が低下した状態は本症のリスクファクターである。
症状
発症高位における疼痛が主である。疼痛は安静時にもあり、体動により強くなるのが特徴である。発熱は必発ではない。膿瘍が腸腰筋にある場合、筋緊張のため下肢を屈曲する「腸腰筋肢位(psoas position)」をとり、疼痛のため伸展できない。
治療
安静と長期間の抗菌薬投与による保存療法が原則である。
入院時よりベッド上臥床とし、ギャッジアップ角度は45°程度に制限する。抗菌薬投与を開始し、血液検査で炎症が落ち着き、疼痛が軽減してきたらコルセットを装着して慎重に活動度を上げていく。
数週経過しても炎症が落ち着かない(保存的治療に抵抗性を示す)場合のほか、麻痺が増悪する場合や、脊椎の破壊が高度で不安定性がある場合は、手術適応である。