最終更新日 2018/04/10

とびひ(伝染性膿痂疹)

とびひ(伝染性膿痂疹)とは・・・

とびひ(飛び火、contagious impetigo)とは、伝染性膿痂疹を指し、細菌による皮膚感染症でブドウ球菌やレンサ球菌が原因菌となる。角層下に細菌感染が起こり、その毒素により水疱や痂皮が形成される。水疱や痂皮が破れてびらんとなり、辺縁に拡大して、周辺の掻痒した遠隔部位へ“飛び火”し、新たな水疱や痂皮ができる。接触により他人へ伝染する。

 

病態

伝染性膿痂疹は、1)水疱性伝染性膿痂疹、2)痂皮性伝染性膿痂疹に分類される。

 

(1)水疱性伝染性膿痂疹

角層で増殖した黄色ブドウ球菌の毒素(表皮剥脱毒素、exfoliative toxin;ET)により、浅い水疱を生じる。主に3歳以下の幼小児で夏季に多く、保育園や幼稚園で集団発生しやすい。

 

(2)痂皮性伝染性膿痂疹

レンサ球菌が角層下に感染し生じる。水疱は少なく、膿疱、黄褐色の痂皮が形成され、皮疹は同時に多発する。リンパ節腫脹、咽頭痛や発熱を伴うこともある。水疱性伝染性膿痂疹と異なり、年齢や季節を問わず発症し、近年、アトピー性皮膚炎患者で増加している。A群連鎖球菌が原因の場合は、腎障害の合併がまれにみられる。

 

治療

治療はセフェム系抗菌薬内服が中心であるが、A群連鎖球菌の場合はペニシリン系も使用される。糸球体腎炎が併発することもあるため、その予防の点から、皮疹の軽快後もさらに最低10日間の抗菌薬内服が必要である。水疱性伝染性膿痂疹ではテトラサイクリン系またはニューキノロン系抗菌薬含有軟膏の外用も使用される。かゆみも強いため、かきむしることで病変が広がってしまわないように抗ヒスタミン薬の内服も併用される。また、シャワーなどで患部を清潔に保ち、タオルなどを患者専用にして病変の拡散を防ぐことも大切である。

執筆: 上村恵理

長崎大学病院 高度救命救急センター助教

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