滲出性中耳炎とは・・・
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)とは、中耳鼓室内に滲出液が貯留している病態である。
好発年齢は3~6歳の小児期であり、副鼻腔炎、アデノイド増殖症の合併や急性中耳炎罹患後に認められる。一側性症例では、上咽頭癌が合併していることがあり注意が必要である。
原因
急性中耳炎の罹患後に鼓室内浸出液が排出されず、炎症が遷延した場合や副鼻腔炎やアデノイド増殖などで耳管機能が障害されることで発症する。上咽頭癌など悪性腫瘍が原因となることもある。
症状
鼓室内の貯留液により伝音難聴を来す。また耳閉感や圧迫感がある。急性中耳炎とは異なり耳痛は認めない。
検査
鼓膜所見上浸出液の貯留を認める。また、光錐(鼓膜上の光の反射する所見)の減弱や鼓膜の陥凹、鼓室内壁へ張り付く所見が認められる。聴力検査では伝音難聴を呈し、ティンパノグラム(中耳のコンプライアンス検査結果のグラフ)はBまたはCを示す。アデノイド増殖症や上咽頭癌では上咽頭内視鏡で病変が観察される。
治療
原疾患の治療
副鼻腔炎や上咽頭炎、上気道炎の加療により耳管開口部付近の炎症病態を軽快させる。上咽頭癌では上咽頭癌そのものの治療を行う。
耳管通気法
耳管の通気を改善することで貯留液の排泄を促進する。
耳管経由で直接鼓室に空気を送り込み、貯留液を排出させる。小児ではポリッツェル球を用いることが多い。
鼓膜切開・鼓膜換気チューブ留置術
鼓膜切開を行い、貯留液を直接吸引し、鼓室の含気を回復する。鼓膜は一週間ほどで自然に閉鎖してしまうため、鼓膜換気チューブの留置やアデノイド増殖症による場合はアデノイド切除も施行することもある。