キモかわ人体解剖模型ポーチが話題!看護師おなじみのあの企業に行ってきた

人体解剖模型ポーチの写真1

え、なにこれ…?

 

人体解剖模型ポーチの写真2

ひょこー。

 

人体解剖模型ポーチとかんごるーの写真

じゃーん。

ひょっこり顔を出したのは、看護roo!公式キャラクター・かんごるーでした!

 

ていうか、そうじゃなくて隣のやつですよね。

 

人体解剖模型ポーチ全8種類の写真

じゃーん(再)。

「人体解剖模型ポーチ」!でした!

 

生物系のリアルなカプセルトイで有名な「株式会社いきもん」のガチャガチャシリーズ(全8種類)。

 

キモかわ好き女子のほか、一部の医療関係者にもひそかに人気だとか。看護師や医師のバッグからこのポーチが出てきたら、確かにちょっと面白いかもですよね。

 

しかも、この小ぶりなポーチ、意外に実用性が高い

 

パソコンと人体解剖模型ポーチの写真

 

看護記録を書くとき、脊椎解剖トルソポーチからスッ…とメガネを取り出してみたり、

 

 

目の構造模型ポーチの写真

 

目の構造模型ポーチには、目薬を忍ばせてみたり、

 

 

顎模型ポーチ

 

顎模型ポーチをポケットティッシュケースにしたら、の部分がフリルっぽくて、まあファンシー。

 

 

脳模型ポーチの写真

 

模型ポーチのそばに腕時計を置くと、『ルパンVS複製人間』みたいな気分になれるよ!

「マモーの脳が宇宙に飛んでいくシーン」ごっこをしたいときにはピッタリですね!

 

 

説明書の写真

 

こんなに使えて遊べる人体解剖模型ポーチ。同封されている説明書には、臓器や筋肉、骨の名称が詳しく載っていて勉強になります。

 

「頭部の正中断の他、上顎洞部を縦断して鼻腔の内部構造を詳細に示すとともに、第6頚椎で水平断して頸部の構造を表現しています」

 

など、完全に素人を置き去りにした解説をじっくり読んでいると…、

 

説明書内の「京都科学」に関する記述のアップ画像

 

ぬな!人体解剖模型ポーチは株式会社 京都科学」の模型がモデルになっている…だと!?

 

京都科学と言えば、

 

看護学校などで使われる実習用シミュレータの製造・販売で国内トップシェアを誇る、実は看護師や看護学生にとても身近な企業

 

じゃないですか!

 

京都科学のシミュレータの画像

京都科学のシミュレータの一例。看護技術を学ぶ実習で、いろんなタイプのシミュレータが使われていますよね

 

マジメな印象の京都科学が、こんな愉快なポーチとコラボしているなんて。やばい。意外すぎて、いろいろ聞いてみたい。

 

京都科学さんの本社・工場にやってきた

京都タワーの写真

 

ということで、さっそく京都に来ました。

天気が悪くて絶妙に不穏な感じが漂ってしまいましたが、心はウキウキです。

 

京都科学本社の写真

 

電車とバスを乗り継いで、京都市内にある京都科学さんの本社・工場に到着です。

 

京都科学さんの前身は、医療機器などで知られる島津製作所の標本部。2018年6月に創業70周年を迎えられた歴史ある企業さんです。現在の主力製品である看護・医学教育用のシミュレータ、超音波診断やCT撮影などのトレーニングに使うファントムは合わせて約1万種類があるそう。すご。

 

京都科学社員の写真

(左から)京都科学の山内浩之さん(経営管理本部付専門課長)、中江悠介さん(グローバル戦略部副部長)、石森謙太さん(事業本部副本部長)。分厚い製品カタログを開きながら、いろいろ教えてくださいました

 

京都科学さんが看護・医学教育用シミュレータを開発するようになったのは1985年のこと。

 

 

「そのきっかけは、看護学校なんですよ」(石森さん)

 

へ?

京都科学さんのシミュレータ開発のきっかけが看護学校って、どういうことですか?

 

京都科学の展示室の写真

京都科学のあゆみが分かる展示室。博物館みたい!

 

「現在の社長の片山英伸が営業を担当していたころ、ある看護学校を訪問したら、看護学生さん同士が腕に針を刺し合って採血の練習をしていることを知ったそうなんです。そこで、注射のモデル(シミュレータ)が必要じゃないかと」

 

おお~、なるほど!

 

看護学生は手技もまだ未熟だし、何度も練習するとなれば、痛みも感染のリスクも大きくなる。互いの身体を練習台にすることなく、より安全に技術を学べるなんて、これぞ看護学校が待ちに待っていた製品だったでしょうね!

 

採血シミュレータの写真

採血・静脈注射シミュレータの現行モデル「シンジョーⅡ」

 

「ところが、当初は『学生同士でやれるから、そんなん要らん』と断られていたそうです」

 

おおぅ…。

 

「そんな中、最初に『買うわ』と言ってくれたのが、看護学校の経理の職員さん。学生さんだけじゃなく、実は、事務職員の方も採血の練習台になっていたから…と聞いています」

 

看護学校の経理さん、そりゃ買うよね!

 

その後、評判が評判を呼び、現在、採血・静注シミュレータは累計で約8000台を出荷。ほかにも、さまざまなタイプのシミュレータが全国の看護教育の現場で活躍しているそうです。

 

京都化学工場の写真

敷地内にある工場も特別に見学させていただきました(一般見学は受け付けていません)

 

 

八重、あつ姫、シンジョー…なんでその名前?

そんな京都科学さんのシミュレータには、採血・静脈注射の「シンジョー」、万能型看護実習モデルの「八重」など、「なんでその名前にしたの?」という製品名が付いています。

 

「その時代の旬という要素は、けっこうありますね」(石森さん)

 

たとえば、

 

「八重」は前モデルの名前が「さくら」だったことと当時の大河ドラマ『八重の桜』から、

 

血圧測定トレーナーの「あつ姫」も、やっぱり大河ドラマと血圧の「圧」をかけて、

 

など、わりとオーソドックスな形で旬を取り入れているそう。大河ドラマ好きすぎ

 

こちらは現在イチオシの多職種連携ハイブリッドシミュレータ「シナリオ」。名前的に外国人説があります

 

 

ちなみに、看護実習用の前モデル「さくら」は映画『男はつらいよ』の寅さんの妹から

 

「名付けする製品の数が多いし、『出演者の多い寅さんシリーズから取ってったらいいんちゃうか』って、お昼食べながら決まりました」(石森さん)

 

「会議で決めたことってないですね。誰かが言い出して『あ、それいいね』みたいな」(山内さん)

 

「寅さんシリーズは結局、さくらだけで、続かんかったけどね」(石森さん)

 

 

えっ!? ランチしながらとかの雑談で決まるの?

 

しかも、寅さんインスパイアシリーズ、続かなかったの??

 

続いてたら、いつか「リリー」とか「みつお」とか「ごぜんさま」とかも出るかもしれなかったの???

 

もう好感しかないエピソードに「質問してみてよかった」という気持ちでいっぱいです

 

看護実習モデル旧型の写真

歴代の看護実習モデル。手前が1966(昭和41)年製の第1号で、清拭の実習用でした

 

京都科学さんのシミュレータは、ほかにスポーツ系の旬に絡めた名前も多めです。

 

採血・静注シミュレータ「シンジョーⅡ」は、「型の注シミュレータ」で「当時、元阪神タイガースの新庄剛志選手がメジャーリーグに挑戦して話題だった」から名付けられたもの。製品キャッチコピーは、

 

「刺し心地 メジャー級」

 

好きです、このコピー。

 

採血シミュレータの写真

「シンジョーⅡ」を体験させてもらいました。皮膚にプツッ、血管にプツッと2段階で感じるメジャー級の刺し心地に感動

 

このほか、吸引シミュレータ「Qちゃん」は、吸引のキューに女子マラソン金メダリストの高橋尚子選手の愛称がかけられ、新生児の沐浴人形「柔シリーズ」は、従来モデルより関節が柔らかくなったというアピールポイントと、「ヤワラちゃん」こと柔道の谷亮子選手の2度目の金メダルに輝いた時事ネタが合致して名付けられたそう。

 

「金メダル級ですね!」とかベタな感想を言ってみたくなります。

吸引シミュレータ「Qちゃん」。ひそかに予想していたオバQは全然関係なかったです

 

 

リアルを追究したシミュレータにはモデルがいた!

放射線画像用ファントムの写真

放射線画像の撮影・読影のトレーニングに使われるファントム

 

それにしても、京都科学さんのシミュレータは、造形そのものもさることながら、触診したときの肌の質感、針を刺したときの手応え、体位を動かすときの関節の動きなど、とてもリアルに人体が再現されています。

 

ここまでのリアリティーはどうやって生まれるのでしょうか。

 

「シミュレータで練習して実際の看護現場に出てもらうので、やはり臨場感はすごく重視しています」(石森さん)

 

「機能としては必要ないけど、わざと指紋やシワを残すこともあります。

 

そもそもリアルな人体である社員から型を採った製品が多い

 

歯医者さんで詰め物を作るときに歯の型を採るでしょう。あんな感じで、型採りには海藻系の材料を使います。肌スベスベになりますよ」(山内さん)

 

社員さんがモデルになっていたとは…!

肌スベスベ情報も、個人的にとても興味深いです。

 

「えっと、これは松井さん」

「こっち、西田さん」

「え、中尾さんちゃう?」

「中尾さんは手が大きすぎるからって、やめたんちゃいましたっけ?」

「こっちのは谷ですね」

 

製品カタログをパラパラめくりながら、皆さん、モデルになった社員さんについてわいわい話してくださいます。

 

(左から)山内さん、中江さん、石森さん

 

「あ、ほら、この手足、石森部長の息子さんですよね」(中江さん)

 

えっ! この小児看護実習モデル「まあちゃん」の手足が、ですか!

 

「まあちゃん」写真

まあちゃん(京都科学パンフレットより)

 

「息子が幼稚園のころですねえ。

『ちょっとじっとしとけよー』『終わったらお菓子あげるからなー』言うて

今はもう大学生。このとき採った手足の型は家に飾ってありますよ」

 

なに、この急なほっこりエピソード~~~。

 

子どものころに押した朱色の手形の色紙が実家の押し入れから出てきて「わあ、小さーい」と家族で懐かしむ…みたいなやつ~~。石森家は3次元の手足型なんですね、豪華。

 

ただ、最近は3Dスキャナーとプリンターで型が採れるようになり、こうした型採りは行われなくなったそうです。

 

リアルな感覚を再現できる京都科学の造形力の秘密は?

こうして採取した型をベースに、人体の再現性や耐久性、価格に反映するコストなどを勘案して、いくつかのテストタイプを製作。最終的に決め手になるのは「医療現場の人たちの感覚」だそう。

 

外陰部の皮膚モデルの画像

分娩時の外陰部の皮膚を再現した素材。出産経験者ですが、こんなに伸びるの…とちょっと引きました

 

「例えば、肌の柔らかさを計測して数値化するための道具もあります。でも、それだけじゃない。数値的にはデータ通りに作っても、いろんな要素によって、針の刺し心地や触れたときの手応えって変わってくるんですよね」(石森さん)

 

そこは、現場の医師や看護師の皆さんが感覚でつかんでいるところなので、実際に100人以上に試してもらって『一番、本物に近い』とおっしゃるものを選ぶということになります」(中江さん)

 

徹底して現場の感覚にこだわるからこそ、医療・看護の現場に役立つ教材になるんですね。

 

そして、その感覚の再現を可能にしているのが、京都科学さんの造形力!!

 

実は京都科学さんは、医療・看護教材だけでなく、美術館や博物館などに展示される仏像や彫像といった文化財の複製製作・修復なども手がけているんです。

 

京都科学の展示室の写真

大人の事情でお見せできませんが、展示室の奥には有名な美術品の複製もありました

 

社員の中には仏像彫刻や油絵など、美術・工芸系学校の出身者が少なくなく、お話を聞いた山内さんも陶芸を、中江さんは立体造形を専攻されていたんだそう。

 

「(そうした経験が)製品に生かされていればいいなと思います」(中江さん)

 

京都科学の展示室の写真

ハブの標本を手に持ってほしいという、よくわからないリクエストにも応えてくださる親切な中江さん

 

 

臨床現場に必要なスキルのボトムアップを教材で~京都科学の思い

今回、たまたまガチャガチャでゲットした「人体解剖模型ポーチ」をきっかけに、京都科学さんにいろんなお話を聞かせていただきました。

 

おもしろエピソードをたくさんお聞きできましたが、中江さんのこんなお話がとても印象に残っています。

 

「実際の感覚に近い製品を目指していますが、本当の患者さんとまったく同じ学びを提供するのは難しい部分があると思います。現場で実践を積まないといけないことは、やっぱりたくさんありますから。

 

ただ、その臨床の現場に立つために必要な、看護学生さんや医学生さんの基礎的スキルをボトムアップできる教材を提供したいと思って、私たちは製品を作っています」

 

「京都科学の事業の根幹は教育にある」と話してくださった皆さんの医学・看護教育への真摯な思いが、とてもよく伝わりました。

 

看護学生・看護師の皆さん、次に学校の実習や外部研修などでシミュレータを見かけたら、「京都科学のシミュレータかも?」とぜひ注目してみてくださいね!

 

人体解剖模型ポーチのモデル模型たちと記念撮影

 

工場の片隅には全国の看護学校でおなじみ、ナイチンゲール像もありました。シュール。(ナイチンゲール像の製作も手がけているそうです)

 

※ちなみに人体解剖模型ポーチは現在、入手しにくい状態らしいので、見かけた方は即ガチャがおすすめです(いきもんさんによると、2018年10月に再生産する予定とのことす)。

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

 

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