遠藤憲一さんの“変人医師”役がスゴい!がん研究者を演じた最新映画『うさぎ追いし』

試写会に行ってきました!

遠藤憲一さんの“変人医師”役がスゴい!がん研究者を演じた最新映画『うさぎ追いし』

俳優・遠藤憲一さんとうさぎ(映画『うさぎ追いし―山極勝三郎物語』)

©2016「うさぎ追いし-山極勝三郎物語-」製作委員会

 

遠藤憲一さん(エンケンさん)の役柄といえば、戦国の武将、悪役刑事、最近はキノコ採り名人のおじさんまで、変幻自在ですよね。

 

怖い顔とは対照的な親しみやすいキャラクターで、「かわいい!」「ギャップにキュン死する…」と女子にも大人気。

 

そんなエンケンさんが、最新映画『うさぎ追いし―山極勝三郎物語―』では、“ちょっと変わったドクターを熱演”とのこと。

 

・エンケンさんがドクターを演じるだって?

 

・しかも、これまであまり知られていなかった「がん研究の偉人」だって?

 

・タイトルの『うさぎ追いし』って何…?エンケンさんとうさぎの萌えショットが見れるのか…!?

 

これは、調査のうえぜひぜひ看護師の方にご紹介しなければ!

ということで、看護roo!編集部では、試写会に参加してきました~。

 

 

 

 

エンケンさん演じる山極勝三郎は“変人”だった? 

遠藤憲一さんと水野真紀さん(映画『うさぎ追いし』)

勝三郎の妻・かね子を演じるのは水野真紀さん(右)です。

©2016「うさぎ追いし-山極勝三郎物語-」製作委員会

 

 

◆変人ポイント1―好きなことにまっしぐら

エンケンさん演じる山極勝三郎さんは1863年生まれ。

世界で初めて、人工的ながん作成に成功した研究者です。

 

幼少期から群を抜いて勉強ができ、16歳のときに東京で町医者を開業する山極吉哉の後継ぎとなるべく上京。

吉哉の娘・かね子の婿養子に入ります。

 

やがて、東京帝国大学の医科に入学し、猛勉強を経て病理学の道へ進むことを決意。

「病理は地味だが、広く大勢の人を救いたい」という純粋な気持ちで研究に没頭していきます。

 

 

ここの場面、本作ではなんと、エンケンさんの学生服姿が見られます(!)

「ちょっと年齢的に無理があるんじゃ…」という一瞬の戸惑いを払拭するのは、さすがの演技力…。

病理学に魅せられた青年、勝三郎をキラキラした瞳と爽やかなセリフ回しで演じています。

 

エンケンさんの瞳のキラキラ…。

皆さんの周りにも「好きなことの話になると眼をキラキラさせる研修医」とかいませんか?

こんなに瞳をキラキラさせるほど、好きで没頭できることがあるなんて、羨ましいなぁ…、と思います。

 

そして、没頭する人の周りには、支える人がいるのが常というもの。

勝三郎さんを支えるのは、妻のかね子さんです。

ときに優しくときに厳しく勝三郎さんを叱咤する姿を水野真紀さんが演じます。

日頃からドクターを支えるナースの皆さんも、共感するところがあるのではないでしょうか。

 

 

◆変人ポイント2―謎の運動、「熊歩き」

「熊歩き」ってご存知ですか?

最近では、国立大学付属小学校入試の運動テストなどでよく見られる運動だそうです。

子どもの体力づくりに効果があるということですが、大人になってからしている人はあまり見たことがない……。

 

ですが、この勝三郎さん、大人になってから来る日も来る日もひたすら廊下を「熊歩き」します。

その目的は体力づくり。

実はご自身は「結核」を患っていたんです。

苦しい中で、でも「研究を諦めたくない」という情熱から、なりふり構わず、いつでも熊歩きを実行。

 

ひたすら廊下を行き来するエンケンさんの姿からは、「絶対に病気を治す」という情熱がほとばしっています。

どんな歩き方なのかは、劇場で確認してみてください。

 

 

◆変人ポイント3―金平糖が手放せない

甘いモノが飛び抜けて好きなドクターっていますよね~!

頭をフル回転させる職業…、へのブドウ糖補給が欠かせないのでしょうか。

 

勝三郎さんも金平糖が大好きだったそうです。

作中で、隠し持っている金平糖をこっそり美味しそうに食べるエンケンさん……。

かわいい!!

 

そして、この金平糖が物語の重要な鍵にもなっていきますのでご注目を。

 

 

◆変人ポイント4―うさぎを愛しすぎてる

勝三郎さんは、うさぎのにコールタールを塗り続けるという方法で、人工的にがんを発生させる実験を長年にわたり行ってきました。

 

コールタールを塗る…、ちょっとかわいそうにも思えますが、勝三郎のうさぎのケアは並大抵ではありません。

うさぎは、暑さや湿気に弱い繊細な生き物。

弱っていかないように、常にうさぎの様子に気を配り、自分の体調不良はそっちのけでケアをします。

 

大事そうにうさぎに話しかけるエンケンさんからは、勝三郎さんの生き物への深い愛情が伝わってきます。

 

 

山極勝三郎さんの功績と、粘り強い実験

さて、ちょっと変わった勝三郎さんと、エンケンさんの演技に注目してきましたが、勝三郎さんの功績はスゴいのです。

北大路欣也さん(右)は勝三郎の研究の恩師・三浦守治を演じます。

©2016「うさぎ追いし-山極勝三郎物語-」製作委員会

 

◆山極勝三郎さんの功績とは?

勝三郎が病理を志した当時、ドイツでは「がんは、なんらかの刺激によって組織が損傷し、その局所炎症から生じる」とする説が提唱されていました。

 

その「がん刺激説」を証明するため、勝三郎はうさぎの耳にコールタールを塗り続けてがんを発生させる実験を開始します。

 

「がんが作れれば、がんは治せる」という信念のもと、長きにわたる実験に耐え忍びます。

そして、1915年、いまからちょうど100年ほど前に、勝三郎は世界で初めて、人工がんの作成に成功しました。

 

 

◆実験成功までは、苦難の道のり

©2016「うさぎ追いし-山極勝三郎物語-」製作委員会

 

一筋縄ではいかないのが実験というもの。

何度もうまくいかず、観ていると思わず力んでしまう場面もありますが、勝三郎は忍耐力で乗り切ります。

 

長い年月をかけ、どんな障壁があってもたゆまずに実験を続けます。

自分の命よりも、名声よりも、「がんを作り、がんを治す」という信念を貫く執念の勝利といえます。

 

 

◆実験に使用されたコールタールは最初に発見された発がん性物質に

助手の市川厚一(右:岡部尚さんが演じます〉は、勝三郎に輪をかけた変人!?うさぎへ並々ならぬ愛情を注ぎます。

©2016「うさぎ追いし-山極勝三郎物語-」製作委員会

 

勝三郎は、「うさぎの耳にコールタールを塗る」という方法で人工的にがんを発生させました。

これは、英国の煙突掃除人に陰嚢皮膚がんが多く、原因としてススに含まれる物質による炎症が疑われていたことをヒントに、勝三郎が考案した方法でした。

 

2016年現在、タールはたばこのフィルターを通しても体内に入り込んでしまう化学物質の結合体の総称です。

タールには、約60種類もの発がん物質が含まれていることがわかっています。

 

勝三郎の実験を礎にして、コールタールは最初に発見された発がん性物質となりました。

 

 

現在行われているがん治療の礎は、勝三郎さんの研究成果

「がんが作れれば、がんは治せる」という信念は、勝三郎が人工がんの作成に成功してから100年後のいまでは現実のものとなっています。

 

勝三郎の研究が礎となり、現在では、がん細胞が正常な細胞の遺伝子に2個から10個程度の傷がつくことにより、発生することもわかっています。

 

国立がん研究センター:がん情報サービスより引用)

 

これらの遺伝子の傷は一度に誘発されるわけではなく、長い間に徐々に誘発されます。

このがん化については、現在では、正常からがんに向かってだんだんと進むことから、「多段階発がん」といわれています。

 

このメカニズムは、勝三郎が長い間、うさぎの耳にコールタールを塗り続けて証明した「がん刺激説」を礎として、その後100年にわたりさまざまな研究が進められた結果わかったことです。

 

このように、がんの発生の仕組みやがんの性質を知ることで、より効果的な治療を行うことができるようになっています。

 

現在行われているがんの薬物療法は、細胞の増殖を防ぐ抗がん剤を用いた治療法で、がんが増えるのを抑えたり、成長を遅らせます。

また、放射線治療は、細胞が分裂してふえるときに必要な遺伝子に作用して、細胞がふえないようにするなどの作用があります。

 

どちらの治療法も、細胞の損傷ががんを引き起こす一因だという勝三郎の証明が礎になっているといえるでしょう。

 

勝三郎は、家庭を大切にしながらも、その生涯を終えるまで医学の発展に身を尽くしました。

スゴいドクターって、往々にしてちょっと変人だったりするものですよね!

 

エンケンさんの熱演が楽しめる今秋の公開をどうぞお楽しみに!

 

■映画情報■

『うさぎ追いし ―山極勝三郎物語―』

キャスト】遠藤憲一、水野真紀、豊原功補、北大路欣也、高橋惠子、他

11月5日(土)よりTOHOシネマズ上田、長野グランドシネマズ、佐久アムシネマ、松本シネマライツ先行公開

12月17日(土)より有楽町スバル座ほか全国順次公開

【公式サイト】http://usagioishi.jp/

【監督】近藤明男

【脚本】篠原髙志

【配給・宣伝】新日本映画社

 

(参考)

『うさぎ追いし―山極勝三郎物語』パンフレット(新日本映画社)

世界で初めて癌の人工的生成に成功(基礎医学の先人、東京大学)

“動物歩き”で子どもに体力 全身バランス養う(中日メディカルサイト)

がんの発生と進行の仕組みを知る(がん情報サービス、国立がん研究センター)

細胞ががん化する仕組み(同上)

薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る(同上)

放射線治療のことを知る(同上)

ここまでわかった、がんと慢性炎症(『Nature』日本語版、Focus)

ここまでできる!がん予防 ~まずは禁煙・節酒(きょうの健康、NHK)

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