頭囲・胸囲・腹囲の測定
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は頭囲・胸囲・腹囲の測定に測定について解説します。
風間 敏子
元 難病子ども支援全国ネットワーク電話相談室
頭囲・胸囲・腹囲を正しく測定し、小児の成長・発達状態や栄養状態を評価する。
また、疾病や異常の早期発見、経過観察のデータとして役立てる。
頭囲・胸囲・腹囲測定の目的
- 1小児の成長・発達状態や栄養状態の評価。
- 2疾病や異常の早期発見、症状の経過観察。
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1 必要物品の準備と患児・家族への説明
前回の測定値を記録し、メジャーなどを点検する(図1)。室温を26℃前後に調整し、患児または家族に測定の説明をして納得を得る。
測定は仰臥位、もしくは坐位・立位で行う。必要時、スクリーンやカーテンを使用する。
①メジャー
②ノギス(必要時)
③筆記用具・メモ用紙
図1 測定のための必要物品
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2 頭囲の測定
メジャーが患児の後頭結節(後頭の最も突出した部分)、前頭結節を通るよう、頭部周囲に密着させて巻きつける(図2、図3)。
体動が激しい場合は、看護師2名で行う。測定値は小数点第1位まで読む。
前回測定値との差が著しい場合は、再測定。必要時、測定部にフェルトペンで印をつける。
図2 頭位の測定
図3 後頭結節と前頭結節
POINT
■メジャーがねじれたり、曲がったりしないよう注意。
■きつく締めすぎないよう注意。
■測定時は頭の形、乳児では大泉門の大きさや膨隆の観察を行う。
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3 大泉門の測定
乳児の場合
乳児では、頭囲の測定時、大泉門の大きさや膨隆の観察を行う(図4)。測定者は、示指と中指で大泉門の骨縁を触診する。
大泉門の菱形の中点にノギスを当て、中点を結ぶ線の長さを2方向から測定する。測定単位はcm、a×bcmと小数点第1位まで記録する。
図4 大泉門の測定
EVIDENCE
■大泉門は、生後9~10か月ごろまでしだいに大きくなり、以降は縮小し、1歳半ごろまでに閉鎖する。
■大泉門が膨隆しているときは髄膜炎などによる頭蓋内圧亢進を、陥没しているときには脱水症を疑う。
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4 胸囲の測定
乳児の場合
乳児の衣類を脱がせ、仰臥位をとる。メジャーを背面は肩甲骨直下、前面は乳頭直上部に当て、皮膚に密着させて正確に1周させる(図6)。
自然な呼吸状態で、呼気と吸気の間に目盛りを読み、前回測定値と比較。差が著しい場合は、再度測定する。
図6 乳児の胸囲の測定
POINT
■乳児はあやしながら、すばやく測定。必要時、家族の協力を得る。
■呼気と吸気の間に目盛りを読む。
■測定値の単位はcm、小数点第1位まで記録する。前回測定値との差も記録。
■メジャーを引き抜くときは、乳児の体を浮きぎみにして、ゆっくりと。強く引き抜くと摩擦が生じ、苦痛を与えたり、皮膚を傷つける場合がある。
幼児・学童の場合
幼児・学童は立位の姿勢をとり、メジャーが肩甲骨直下、乳頭直上部を通るように巻きつける(図7、図8、図9)。
皮膚に密着させて、正確に1周させる。自然な呼吸状態で、呼気と吸気の間に目盛りを読む。
図7 幼児・学童の胸囲の測定
図8 乳頭直上部を通す
図9 肩甲骨直下を通す
POINT
■羞恥心に配慮し、スクリーンを使用するなど、プライバシーを保護する。
■きつく締めすぎないよう注意。
■呼気と吸気の間に目盛りを読む。
■単位はcm、小数点第1位まで記録。前回測定値との差が著しい場合は再測定。前回測定値との差も記録。
■乳房が隆起している年長女子は、乳頭の位置にかかわらず、肩甲骨直下を基準として、胸部周囲を水平に1周する。裸にせず、衣類の前を開いて測定してもよい。
メジャーは仰臥位ではベッド面に垂直、立位では水平
●メジャーは仰臥位ではベッド面に垂直となり、立位では床面に水平となる(図10)。
メジャーがねじれたり、曲がったりしないよう(図11)皮膚に密着させ、正確に1周させて測定することが必要である。
図10 メジャーは仰臥位ではベッド面に垂直にする
図11 正しくない測定方法
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5 腹囲の測定
腹囲は乳幼児・学童とも、仰臥位で測定する(図12)。
メジャーが臍上を通過するよう腹部周囲に正確に巻きつける(図13、図14)。呼気時に目盛りを読み、測定値を記録。前回測定値と比較する。
1日の中でも測定値に変動があるため、授乳前、食事前など、測定時間を一定にすることが必要である。
乳児の場合
図12 乳児の腹囲の測定

幼児・学童の場合
図13 幼児・学童の腹囲の測定
図14 ベッドに垂直に測定する
POINT
■測定時間を一定に。
■メジャーは臍直上部を通り、ベッド面に対して垂直となる。
■呼気時に測定。
■単位はcm、小数点第1位まで記録。前回測定値との差が著しい場合は再測定。
■乳児はあやしながら、すばやく測定。必要時、家族の協力を得る。
■きつく締めすぎないよう注意。
腹囲は仰臥位で測定
●両膝を伸ばした体位で測定する。
●疾患によっては、臍直上部と腹部の最大部の2か所を測定する。
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
単行本に収録されているWeb動画は掲載していません。視聴されたい場合は、単行本をお買い求めください。
[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ