沐浴の目的と手順
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は沐浴の目的と手順について解説します。
佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師
乳児は自分で身体の清潔を保つことができないため、沐浴は大切なケアである。
感染防止、新陳代謝の促進、観察のためにも重要である。
また、全身状態を観察するよい機会となる。
沐浴の目的
- 1身体の清潔を保ち、感染を防止する。
- 2血液循環を促進し、新陳代謝を促す。
目次に戻る
1 必要物品・沐浴室の準備
沐浴に必要な物品は図1のとおり。
図1 沐浴に必要な物品
①湯温計
②石けん(泡状のベビーソープ)
③ガーゼ
④タオル
⑤バスタオル
⑥ボール
⑦着替えの衣類
⑧綿棒
沐浴室の室温を25℃前後に調整する。沐浴槽(図2)に38~40℃の湯を入れ(図3)、石けん・ガーゼ・ボールを使いやすい位置に置く。
沐浴後に速やかに着衣できるよう、バスタオルと衣類を広げておく(図4)。
図2 沐浴槽
図3 湯温を確認する
図4 バスタオルと衣類を広げておく
POINT
■温度計と素手の両方で、湯温(38~40℃)を確認する。
■寒くないよう、室温(25℃前後)に配慮する。
■沐浴時の使用物品、沐浴後のバスタオル・衣類は使いやすく配置する。
目次に戻る
2 沐浴槽に入れる
❶温度計と、肘の内側で湯温を確認する(図5)。熱すぎないか、また冷めていないか、患児を入れる直前に再確認する。
図5 肘の内側で湯温を確認する
POINT
■湯の温度に注意する。
■タオルでくるむと乳児は安心し、体動を抑える効果もある。
■頭部と臀部を保持。落とさないよう注意!
■足先から湯に入れる。
❷患児をタオルでくるみ、利き手と逆の手で後頭部から頸部を支える(図6)。利き手で患児の臀部を保持する。
図6 患児をタオルでくるんで支える
❸患児の様子を観察しながら、ゆっくりと足先から湯に入れていく(図7)。
図7 足先から湯に入れていく
目次に戻る
3 顔・耳を拭く
❶ガーゼを湯で絞り、目頭から目尻に向かって、やさしく拭く(図8)。
反対側の目を拭く際は、ガーゼの面を替える。
図8 目頭から目尻に向かって拭く
❷右額→右頬→顎→左耳と拭く(図9)。同様に、左額→左頬→顎→右耳と拭く。
図9 顔・耳を拭く
POINT
■筋層に沿って拭くと、拭き残しが少ない。
■順番に拭くようにすると、拭き忘れがなくなる。
目次に戻る
4 頭部・前半身を洗う
❶頭部に湯をかけて、頭髪を濡らす(図10)。
図10 頭髪を濡らす
❷頭髪に石けんをつけ、円を描くように洗う(図11)。
図11 頭髪に石けんをつける
❸絞ったガーゼで頭部を拭き、石けん分をとる(図12)。
図12 頭部を拭き、石けん分をとる
❹体を覆うタオルを開き、石けんを手にとって頸部を洗う(図13)。
図13 頸部を洗う
POINT
■頸部のくびれている部位に、胎脂や汚れがたまりやすい。
■指先で、くびれを開いてよく洗う。
❺石けんを手につけて、胸部・腹部に円を描くようにして洗う(図14)。
図14 胸部・腹部を洗う
❻両腋窩に指を差し入れて洗う(図15)。肩から腕・手を握るようにして、回しながら洗う。湯に浸したガーゼで、頸部・胸腹部・両腋窩・肩・腕・手の石けん分をすすぐ。患児が手を握っている場合は、小指から開いて洗う。
図15 腋窩を洗う
目次に戻る
5 背部を洗う
❶❷利き手で患児の腋窩を支え、母指の付け根に患児の顎を乗せて、腹臥位にする(図16、図17)。
図16 母指の付け根に患児の顎を乗せる
図17 腹臥位にする
❸石けんを手につけて背部・臀部を洗い、湯に浸したガーゼですすぐ(図18)。
図18 背部・臀部を洗う
POINT
■背部は円を描くように洗う。
■患児の顔が湯に浸っていないか、頸部を圧迫していないか注意する。
目次に戻る
6 下肢・陰部を洗う
❶上半身にタオルをかけて冷えないようにする(図19)。手に石けんをつけ、下肢を握って回すようにしながら、大腿→下腿と洗ってすすぐ。
図19 上半身にタオルをかける
❷足の指の間も、手に石けんをつけてよく洗い、すすぐ(図20)。
図20 足の指の間を洗う
図21 陰部・肛門を洗う
目次に戻る
7 かけ湯をし、沐浴槽から上げる
最後に、静かにかけ湯(40℃)をし、患児を沐浴槽から上げる(図22)。広げておいたバスタオルの上に寝かせ、水分を拭き取り、着衣・整髪を行う。
図22 かけ湯をする
POINT
■沐浴後は、速やかに身体・頭髪をバスタオルで拭き、着衣を整える。
■手際よく行えるよう、あらかじめバスタオルを広げ、衣類も着せやすく準備しておく。
目次に戻る
本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
単行本に収録されているWeb動画は掲載していません。視聴されたい場合は、単行本をお買い求めください。
[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ