授乳の目的と手順
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は授乳の目的と手順について解説します。
佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師
授乳は乳児にとって、成長・発達に必要なエネルギー・栄養補給であり、援助者との触れ合いの機会ともなる、大切なケアである。
授乳の目的
- 1成長・発達に必要なエネルギー・栄養補給。
- 2アレルギー、代謝異常などの治療。
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1 必要物品の準備、患児の観察
❶授乳前に、患児の全身状態を観察し、おむつ交換を行う。援助者は手洗いを行い、必要物品を準備する。患児の月齢・吸啜力・疾患などを考慮し、乳首を選択。不潔にならないよう乳首を哺乳瓶に取り付ける。
授乳に必要な物品は図1のとおり。
図1 授乳に必要な物品
①調乳ミルク
②哺乳瓶
③乳首
④口拭き用ガーゼハンカチ
EVIDENCE
■乳児は鼻呼吸であるため、鼻汁や鼻閉があると哺乳ができない。必要時、口鼻腔吸引を行う。
■おむつが汚れていると、哺乳が進まないことがある。
■電子レンジによるミルクの温めは、絶対に行わない。均等に熱が行き渡らず、一部にホットスポットが生じるため、熱傷の危険がある。
❷ミルクの指示量、患児の氏名を確認する。
ミルクを37℃程度に温め、援助者の前腕内側に数滴垂らして、温度を確認する(図2)。
図2 ミルクの温度を確認する
POINT
■熱すぎるミルクは口腔内の熱傷の原因、冷たいミルクは消化不良の原因になるので注意。
■温めてから2時間以上たったミルクや、温めなおしたミルクは、細菌が繁殖している可能性があるため、使用しない。
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2 哺乳と排気
❶左腕に患児の頭側がくるよう斜め立て抱きにし(図3)、首の下に口拭き用ガーゼハンカチをはさむ。
図3 患児を斜め立て抱きにする
POINT
■患児の頭を左腕に乗せるのは、右手で哺乳瓶を保持し、患児に援助者の心音を聞かせ、安心させるためである。
❷乳首を患児の口角に触れさせ、口を開けたら乳首をくわえさせる。哺乳瓶を30度くらいに傾け、乳首に空気が入らないようにミルクを満たす(図4)。
図4 哺乳瓶を30度くらいに保持する
POINT
■哺乳が緩慢になったら、排気をさせてみる。さらに、おむつを確認し、汚れていれば交換する。
❸哺乳後は立て抱きにし、背中を上向きにさすって、排気させる(図5)。全身状態(呼吸・チアノーゼなど)、吐乳・溢乳を観察し、おむつ交換を行う。
図5 排気させる
POINT
■排気が十分でない場合は、ベッドの上部を挙上し、右側臥位にして、吐乳時の誤嚥を防ぐ。
■排気の際は、患児の鼻をつぶさないよう、顔の位置に注意する。耳元で排気させると、小さなげっぷの音も聞こえる。
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ