乳児、幼児、学童児とのコミュニケーション
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は乳児、幼児、学童児とのコミュニケーションについて解説します。
山元恵子
富山福祉短期大学看護学科長
佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師
コミュニケーションの実際
看護師にとって患児、家族とコミュニケーションをとることは、患児の成長発達を促進するのみならず、いかなる発達段階においても相手のニーズを適切に把握し、患児、家族に応じた看護を提供する上でとても重要である。
目次に戻る
コミュニケーションの基本
- 1患児をひとりの「人」として尊重する。
- 2患児とゆっくり落ち着いてかかわれる時間、場所(部屋、空間、室温、照明など)を確保する。
- 3患児と視線の高さを合わせ、必要に応じてタッチングなどのスキンシップを図る。
または適度な距離感を保つ。 - 4患児が好む、白色以外のユニフォームを着用する。
白衣には恐怖感を持つことがあるため、避ける。
乳児
人見知りが始まった乳児は、母親(養育者)と離れると不安が強くなるため、母親から離さないことが重要である。
視力が十分に発達していないため、患児の視界に入るように座り、声掛けやタッチングも併用して、安心を与える(図1)。
図1 乳児へのコミュニケーション
非言語的コミュニケーション
●ゆっくりと視線を合わせ、アイコンタクトやスキンシップを図る。
言語的コミュニケーション
●喃語や泣き声などの反応を解釈し、患児のニーズに応える。
幼児
発達上、母子分離が進んでいない幼児は、安全基地である母親から離さないようにする。嫌がったりする場合は、母親に話しかけて安全な人であることを認識できるようにする。
言語で十分に伝えられないことがあるため、表情やしぐさなどの反応もキャッチしていく。患児が興味を持っているもの(おもちゃや本)などを介して、会話を広げていく(図2)。
図2 幼児へのコミュニケーション
非言語的コミュニケーション
●患児と目線の高さを同じにし、笑顔で接する。
●患児の好きなおもちゃや本などを用いながら、恐怖心を与えないようにゆっくりと近づく。
言語的コミュニケーション
●自己紹介し、患児がいつも呼ばれている呼び名で話しかける。
●患児が知っている言葉、普段使っている言葉を用いて会話する。
学童児
学童児は言語で伝えることはできるが、遠慮したり、本心を語らなかったりすることがあるため、話しやすい雰囲気をつくることがとても重要となる(図3)。
図3 学童児へのコミュニケーション
非言語的コミュニケーション
●過度なスキンシップは避け、患児の反応を見ながら、適切な距離感を保って接する。
言語的コミュニケーション
●自己紹介し、わかりやすい言葉、患児の発達に合った言葉を用いる。患児が興味・関心のある話題を交えて会話する。
目次に戻る
コミュニケーション Q&A
「どうして?」「なんで?」と聞かれたら?
「どうして?」「なんで?」などと聞かれた時に、患児にわかるように説明する。
説明が難しい場合も受け流さずに、「○○ちゃんはどう思う?」「看護師さんは○○だと思うよ」などと会話をすすめる。子どもは必ずしも正しい答えを求めているのではない。誠実に対応することが大切。
「いやだ」「あっちいって」と言われたら?
「いやだ」「あっちいって」などと言われた時は、「今は嫌なんだね」と一旦受け入れる。
→なぜ拒否をするのか、アセスメントする
→いつがいいのか、聞く
→時間をおいてからかかわってみる
→かかわる人を変えてみる
目次に戻る
本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
単行本に収録されているWeb動画は掲載していません。視聴されたい場合は、単行本をお買い求めください。
[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ