頭ではわかっているのに、いざ急変が発生すると、何を優先すべきかわからない…。

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は急変発生時に何を優先すべきかについて解説します。

 

渕本雅昭
東邦大学医療センター大森病院 看護部/急性・重症患者看護専門看護師

 

頭ではわかっているのに、いざ急変が発生すると、何を優先すべきかわからない…。

 

「第一印象」で状態を見きわめることが、優先順位を判断する最大のコツです。日ごろからのトレーニングが重要となります。

 

 

「第一印象」が最も大事

一般的に、急変とは、予測される臨床経過から大きく外れる変化であり、バイタルサインの変化を伴い、時には死に至る可能性のある状況変化を意味します。

 

急変に遭遇した場合、最も優先順位が高いのは「この状況は、本当に急変か」を判断することです。意識障害かと思ったら深く眠っていただけ...ということもあるためです。

 

「本当に急変か」を見きわめる際に重要となるのが、患者の外観、いわば遭遇したときの第一印象表1)です。これらの判断を、患者と接した最初の数秒でパッと行い、緊急システムを稼働させたり、「危険な徴候はない」と判断したりすることこそが、優先順位の判断につながります。

 

表1 患者の第一印象

患者の第一印象

 

 

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「観察」する癖をつける

第一印象からのアセスメントをパッと行えるようになるためには、日ごろから「患者のいつもの状態」を知っておくことが大切です。いつもの状態を知らなければ「あれ?」「おかしいな」と気づくことも難しいのです。

 

そして、「頭ではわかるのに、その場に立つと何もできない。どうトレーニングしたら動けるようになる?」の記事で述べたように、万が一に備えて、日ごろから看護師自身のスキルトレーニングも欠かさないようにしましょう。そうすれば、スキルの自信もつき、ひいては優先順位を判断する自信にもつながることでしょう。

 

病室の患者さんの異変に気づいたナースの様子

 

 

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引用・参考文献

1)渕本雅昭:できるナースと言われるために3年目までにクリアしておく30のこと.月刊ナーシング 2016;36(10):83‐85.

2)渕本雅昭:メディカルシミュレーションによる技術教育~教育に必要な準備と高価判定の方法.救急看護&トリアージ 2012;2(4):74‐78.

3)渕本雅昭:看護基礎教育における模擬患者養成プログラムの実際とその検証.SCU J Des Nurs 2012;6(1):3‐10.

4)石松伸一 編:急変対応のABCD.照林社,東京,2014.

5)中村美鈴 編:わかる!できる!急変時ケア 第3版.学研メディカル秀潤社,東京,2012.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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