病棟スタッフに「急変対応」への意識づけを促すには、どんな勉強会が効果的?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は病棟スタッフへの急変対応の意識づけについて解説します。

 

竹内真也
長岡赤十字病院 看護部/集中ケア認定看護師

 

病棟スタッフに「急変対応」への意識づけを促すには、どんな勉強会が効果的?

 

病棟で起こった急変事例をもとに、そのときの対応を振り返るグループリフレクションが効果的です。定期的な急変対応のシミュレーショントレーニングも実施しましょう。

 

 

急変は超緊急事態です。そのため、病棟スタッフ全員が急変対応を理解していなければなりません。このことをスタッフ全員に意識づけるには、その病棟で、実際にあった急変患者の対応に関するグループリフレクションが効果的です。

 

チームでの振り返りが重要

リフレクションは実践の積み重ねを助けるものであり、それが経験として蓄積され、看護師の基盤の1つになるといわれ、学習・成長の中核になるものだと考えられています。

 

複数の他者とのリフレクションは、臨床体験を多面的にとらえなおすことになり、客観・複眼的・柔軟な視点の向上に効果的です。また、ディスカッションは、従来の講義形式の勉強会よりも、学習定着率が高まるといわれています。実際に急変対応を行った事例で、グループリフレクションを行い、反省点だけでなく、よかった点も見いだすようにディスカッションすると、スタッフの動機づけや意識づけにもつながります。さらに、急変対応に関する新しい情報や知識を加えれば、より洗練された急変対応が実施可能となります。

 

 

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トレーニングは定期的に

グループリフレクション後は、定期的なシミュレーショントレーニングを行います(図1)。

 

図1 効果的な勉強会のイメージ

効果的な勉強会のイメージ

 

シミュレーショントレーニングは、患者モデルを使用するため、安全に繰り返し訓練することができ、スタッフの意識づけ・動機づけにもつながります。

 

その際には、あらかじめ「その事例から、何を学び得るのか」という目標(終着点)を決めておき、そこに向かってファシリテーション*1することが重要です。

 

*1 ファシリテーション:参加者の発言や参加を促したり、話の流れを整理したり、参加者の認識の一致を確認したりする行為で介入し、合意形成や相互理解をサポートすることにより、参加者の活性化や協働を促進させること。

 

 

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引用・参考文献

1)Dewey J著,市村尚久訳:経験と教育.講談社,東京,2004.

2)長田真美,五十嵐清治,沢辺千恵子 他:臨床実習の学習過程におけるグループリフレクションの教育的効果.北海道医療大学歯学会雑誌 2008;27(1):62.

3)阿部幸恵:医療におけるシミュレーション教育.日集中医誌 2016;23:13‐20.

4)浅香えみ子:看護にいかすインストラクショナルデザイン.医学書院,東京,2016:119‐125.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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