BLSからALSに移行したら、胸骨圧迫はやめていい?
『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はBLSからALSに移行した際の胸骨圧迫について解説します。
村上香織
近畿大学病院 救命救急センター 看護長/急性・重症患者看護専門看護師/救急看護認定看護師
BLSからALSに移行したら、胸骨圧迫はやめていい?
心拍が再開しない限り、胸骨圧迫は継続すべきです。
BLS(一次救命処置)のみでは自己心拍再開(ROSC[ロスク])が得られないときは、ALS(二次救命処置)に移行しても胸骨圧迫は継続しなければなりません。
ALSに移行しても、BLSと同様に胸骨圧迫の中断はできるだけ避け、質の高い胸骨圧迫を継続する必要があります(図1)。
やむを得ず胸骨圧迫を中断するのは、以下の3つの場面のみです。
① 人工呼吸を行うとき
② 心電図波形やROSCを評価するとき
② 電気ショックを実施するとき
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胸骨圧迫は心肺蘇生の要(かなめ)
ALSは、BLSだけではROSCが得られない場合に実施する高度な処置です。
ROSCを得るためには、質の高い CPRを実施しながら、心停止の可逆的な原因(表1)の検索と是正、静脈路・骨髄路の確保、血管収縮薬・抗不整脈薬投与や、高度な気道確保(気管挿管など)の検討などを行うことが、ALSでは重要となります。
そして、ROSCが得られた後は、吸入酸素濃度と換気量の適正化、循環管理、12誘導心電図・心エコー、体温管理療法(低体温療法など)、再灌流療法、てんかん発作への対応、原因の検索といったモニタリングと管理を行う必要があります。
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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社