粉瘤|良性腫瘍④

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は粉瘤について解説します。

山元 修
鳥取大学医学部皮膚科教授

 

 

Minimum Essentials

1重層扁平上皮で囲まれた皮膚組織内の洞で、内部は角質で満たされている。

2皮内の囊腫(ふくろ)として現れなだらかに隆起し、時に面皰(にきび)を伴う。内容物は粥状物で悪臭を放つ。

3外科的摘出術を行うが、二次感染した場合は切開・排膿が行われる。

4放置した場合、加齢とともに徐々に大きくなる。外科的に根治可能である。

 

粉瘤とは

定義・概念

重層扁平上皮で囲まれた皮膚組織内の洞(袋状の穴)で、内部は角質で充満している。アテロームともいう。
 

原因・病態

原因は不明である。

 

目次に戻る

診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

成人期以降の顔面、頸部、胸背部、頭部に好発する5mm〜5cmくらいまでの皮内の囊腫で、皮表面はなだらかに隆起する(図1)。

 

図1粉瘤

中央の面皰(→)周囲に若干の炎症を伴う。

粉瘤

 

時に皮表面に黒点(面皰とよぶ)がみられる。内容物は悪臭を伴う粥状物で、切開や圧迫で流出することがある。通常自覚症状を欠くが、囊腫が破裂して二次感染すると炎症により発赤、腫脹、疼痛をきたす。
 

検査

鑑別が難しいときに表在エコー検査をすることがある。

 

 

目次に戻る

治療ならびに看護の役割

治療

おもな治療法

・外科的に摘出する。
・二次感染した場合は切開・排膿を行い、ガーゼドレーンを留置しアクリノール湿布を行う。抗菌薬を内服する。

 

合併症とその治療

一般的な外科的治療に伴う合併症(二次感染、瘢痕形成、創離開)に注意する。

 

治療経過・期間の見通しと予後

外科的治療を選択した場合は1〜2週間で創傷治癒する。予後はきわめて良好である。
放置した場合、加齢とともに大きくなるが、悪性化はきわめてまれである。

 

看護の役割

治療における看護

手術的摘出術での留意点は脂漏性角化腫と同様である。切開した場合は、通院による局所処置(ガーゼドレーンの交換など)が必要である旨説明する。

 

 

目次に戻る


 

本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

> Amazonで見る   > 楽天で見る

 

 

[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

SNSシェア

看護ケアトップへ